西野七瀬さんのハートに私のハートが撃ち抜かれた夏の終わり、神宮、夜

 乃木坂46バースデーライブ初日、台風が近付いている中で雨は振ったり止んだりで、しかしそこまで強く降ってきてはいなかったのでつつがなくライブ本編終了。初日は1st『ぐるぐるカーテン』から5th『君の名は希望』までの全曲を披露してくれました。一緒に見た知り合いと、明日は『ガールズルール』で始まるのかいいなーとか話したりしていたらアンコールスタート。聴き覚えのあるこのイントロは…、『ガールズルール』じゃないですか!!!!!!! まさかここで『ガールズルール』が来るとは予想していなかったので、自分もそして周りの客も大興奮。そりゃガッツポーズしちゃいますよ。と同時に雨も強くなってきました。しかし雨なんて関係ない。リリースされた当時は何故こんな安直な沸き曲を乃木坂に与えるんだとがっかりした記憶もありますが、時が経てばガールズルール is サマーアンセム。野外で、雨で、ガールズルール、盛り上がるしかないでしょう。最高…!!


 結局アンコールは、

と、やけくそかってぐらい夏の盛り上がる曲で畳み掛けてくる締め方で、最高です大満足です。最後、何か足りないでしょと『裸足でSummer』を曲紹介して、センターステージのそのまたいちばん高いところでひとりで踊る齋藤飛鳥さんが神々しかった…。


 で本題なのですが、私は1塁側スタンド席の前の方でも後ろの方でもなく、ちょうど真ん中の通路のちょっと後ろで見ていたのですが、なんとアンコールでスタンド席にメンバーを乗せたトロッコがやってきてくれたのです!! まさかスタンド席にメンバーが来てくれるとは!! しかも私のいる席のすぐ目の前の通路を通っていくらしい!! 『ガールズルール』で高まっているところにメンバーも来てくれるということで、私は興奮と緊張でなんかよくわかんない状況に…。


 1塁側にまず来てくれたのが白石麻衣さんと生田絵梨花さんで、手の届きそうなほどの近さで目の前を2人が通っていきます。近いでしょ、近すぎでしょ…。白石麻衣さんのオーラには圧倒されますね…。すごいわ…、やっぱりアイドルだわ…。ため息が出て思考停止に陥るぐらい圧倒されるものが2人にはありました。これはやばいぞ。


 2人が通りすぎた後に我に返って、いやせっかくこんなに近くに来てくれているのだからひと目だけでもレスを頂きたいなと邪な望みが湧き上がってきました。所詮レス厨なので…。でも無理でしょ、周りみんなパニック寸前ですよ、我も我もとレスくれ乞食に囲まれてそんなに容易く頂けるはずがないと、レスが欲しいなという気持ちはあったものの周囲の興奮っぷりに冷静にならざるを得ないものがあったのも確かです。私がもし白石麻衣さんの立場だったら怖くて完全に引いているような狂気に包まれた空気感がありました。


 白石麻衣さんと生田絵梨花さんが通りすぎていって、『ガールズルール』も終わったと思ったら『夏のFree&Easy』が始まって、盛り上がることしか考えてないような流れに当然盛り上がって、やっとなんとか心が落ち着いてきた頃に3塁側からやっと1塁側に回ってきた西野七瀬さんと齋藤飛鳥さんが私達のところに辿り着こうとしていました。白石生田で既に心がオーバーフロー気味なので、やってくる2人の輝きを受け止めきれるのか不安になりつつもトロッコはゆっくりと近付いてきます。


 そしてやってきた西野七瀬さん。西野さんが目の前に来たとき、西野さんはちょうど私とは反対側、グラウンドの方向を向いていました。その西野さんがこちらに振り向く。嘘みたいな本当の話なんですが、その振り向く様がスローモーションなんですよ。映画かよ。こちらに顔を見せてくれた西野さん。可愛い…。これは守ってあげたくなるわ…。よく言われているように笑顔の中にも儚さを漂わせていて、狂騒の坩堝で咲く一輪の花のようです。私の席はトロッコから近いのですが少しだけ低い場所だったので、西野さんの視線は私の頭の上を通りすぎていきます。正面から少しずつ遠ざかっていく西野さん。浮かれていた私は今しかないと勇気を振り絞って、遠ざかっていく西野さんに向けてハートを作ったんですよ。両手でハートです。普段のアイドル現場ではハートなんて絶対作らないのに。オタクのハートケチャを笑う側だったのに。


 しかし去っていく西野七瀬さん。ちょっとハートを作るのが遅かったかなと思い始めて、周りの猛烈なレス頂戴アピールの中でひっそりとしたハートではやっぱり無理だよなと諦めかけたそのとき、西野さんがこちらを向いて西野さんと目が合ったのです。マジか…。目、合っちゃったよ…。呆然としていたら、西野さんがマイクを持ちながら器用に人差し指と中指でハートを作ってくれたのです。マジか…。こんなことってあるのか…。本当にレスって頂けるんだという感動、他の人がもらっているのを見てもまさか自分も頂けるとは夢にも思っていなかったのでびっくりしてしまいました。しかもハートを健気に作る西野さん可愛すぎるでしょ…。呆然として空っぽになった心に西野さんの視線とハートが奔流のように流れ込んできて、私はあっという間に西野さんを好きになっていました。


 西野七瀬さんの後ろに続いていた齋藤飛鳥さんについてはほとんど覚えていません。


 このような優しさに触れて西野七瀬さんを好きにならないわけがない。これは恋に落ちるわという気持ちがよーくわかりました。西野さんのファンには若い男が多く、なおかつガチ恋が多いのも納得できました。ライブのレスでさえこれなんだから握手会なんてどうしたって恋に落ちるはずです。怖い…。乃木坂46の人気が大きくなって、大きな会場でライブをするようになっても、お客さんの近くにメンバーを寄越す意図もよーくわかりました。テレビや雑誌で見る人を間近で見れるすごさ。ライブでのそれは握手会などのイベントとも違った祝祭に似た非日常感があって、そこでの距離感の落差が生み出す奇跡は本当にすごいなと思いました。しかしこうやって遠くの席まで来てくれるのは人気メンバーであることが多いので、人気メンバーがさらに人気になっていくのはずるいなあという気持ちもあります。


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 たかだかアイドルの一瞬のレスとわかっていても、一瞬の出来事だからかもしれませんが、あの瞬間、人でいっぱいの神宮球場の中で私と西野七瀬さんだけの時間があったことに運命を感じざるを得ないものがありました。オタク運命好きすぎですからね。レス一発で落とすなんてオタクチョロいとして片付けるにはあまりにも深い尊さがあった。西野七瀬さんすごい、というか好き。西野七瀬さん好きです。好きの気持ちが巡り巡ってアンコールから遡り、ソロで歌った『ひとりよがり』を思い出しました。降りしきる雨がスポットライトで反射してダイヤモンドダストのような光群に包まれて歌っていた西野さんがとても美しかった。仙台の公演では、MCの時間に隣のメンバーの肩に頭を預ける西野さんに愛おしさしかなかった。もっともっと遡って、『無口なライオン』での西野さんに夏と少女でしか生み出せない美しい悲しさを見た。そしてチアガール、マカオ。たくさんの西野さんを思い出して(それほどでもないか…)、今に戻ってあの瞬間の西野さんと出会えたことに再び幸せを感じた。感謝です。


 西野七瀬さんのハートの記憶を反芻しながら帰った自分の部屋で、私は西野さんのポスターを貼りました。夏は終わりました。




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