長濱ねる『また会ってください』

 唐突ですが私、長濱ねるさんが苦手です。長濱ねるさんが可愛いことにはまったく異論がないのですが、自分が可愛いことをわかっていつつわかっていないと装っている上で装っていることもわからせているみたいな、書いてて自分でもよくわからないのですが、自分が可愛いことへの距離感の取り方の絶妙さ加減に私は一歩引いてしまうのです。長濱ねるさんは可愛すぎる。それは可愛いねと言われて、謙遜しても認めても反感を買いそうなほどの可愛さ。長濱ねるさんを見ていると、可愛すぎて相当苦労しているのではと勝手な想像をしてしまいます。


 そんな長濱ねるさんですが、これまで私が見てきた長濱ねるさんは可愛すぎて大変そうだなと思いつつも、可愛さにまつわる処世術がとても長けているような印象を受けました。彼女自身のことなので慣れているのは当たり前なのですが、まだ十代なのにすべてをわかっているようなその世慣れた感じに私は苦手意識を抱いてしまいます。しかしその部分でさえ好きなファンはいるのだろうなということは彼女の人気の高さから想像に難くありません。私は長濱ねるさんの可愛さにミスiD的なものを感じているのですが、ミスiDは可愛さの扱いの上手い女性が多く同性からの支持も高いと私は思っていて、そういう点から果たして長濱ねるさんが同性からどう思われているのか実際かなり気になっています。


 でまあ、可愛い可愛い長濱ねるさんはこれまで苦手だったんですが、欅坂46の2ndシングル『世界には愛しかない』のカップリングに長濱ねるさんのソロ曲が収録されており、そのソロ曲『また会ってください』が私好みのエバーグリーンガールポップであったので、今は苦手よりも好きに傾いています。

寂しさの風が木々たちを揺らし
蜩が名残惜しそうに鳴いた


 もう少し彼との距離を縮めたい女の子の夏の終わりの切なさ。切なくともとても爽やかです。夏の炭酸感がある。いかにも売り出し中の若手女優が歌いそうな曲を彷彿とさせます。もう少し具体的に書くとアゲハスプリングスっぽい。私がいちばん好きな若手女優曲である綾瀬はるかさん『飛行機雲』を思い出します。清涼感あるトラックに可愛さを湛えつつも透明度の高い長濱ねるさんの歌声がとても合っています。


 曲が好きならば長濱ねるさんではなくてもよいのではと考えてしまいますが、MVを見ているとやはり長濱ねるさんが歌わなければ意味がないという結論に至ります。MVの長濱ねるさん、なんだかんだやっぱり可愛いんですよ。ここまでくると前半でこねくり回した可愛さがどうのこうのとかどこかに吹き飛んで長濱ねるさん好きという気持ちになってしまい、つまりこういう気持ちの変化を起こしてくれるのがアイドルらしくて最高だなと思います。





欅坂46 『また会ってください』Short Ver.


 ちなみにひらがなけやきの『ひらがなけやき』も大好きです。

ハコイリ♡ムスメ『ハコイリ♡ムスメの定期便8月号 ~この眩しさは、きっと君のせい。~』@AKIBAカルチャーズ劇場(20160827)

 ハコムス最高。やっぱりハコムス大好きです。季節と共に物語を紡いでいくハコムスの清涼な空気に癒やされました。好きという気持ちはまだ途切れてなかった…!!


 最後にハコムスを見たのが8月上旬のTIFでして、ここまで遠ざかっていたのは久しぶりだったので楽しめるのかちょっと不安混じりの緊張がありましたが、始まってみれば楽しい夏のハコムスでしたね。


 初めてハコムスのセーラールックを見ました。袖を折り返しているところが私は好きで、アグレッシブにダンスするとお腹がちらりと見えるのがポイントです。最前でのおへそちらり最高の最高……。


 ハコムスの定期公演というと、その季節に合わせた曲を毎シーズン新しく選曲して歌います。基本的に前年までのシーズン曲は歌いません。しかし今月は違いました。過去に歌われた夏曲をいくつも歌ってくれて、私を懐かしい気持ちにさせてくれました。結局懐古厨なんです…。


 ハコムス初の試みとしてはメドレーを披露。ところどころに台詞を挟みながら女の子のひと夏の恋をハコムスの曲と共に綴ります。このメドレーはハコムス初期からカバーしている『最初の気持ち』や『海へ行こう!』などを歌ってくれてうれしかったです。しかもその合間に挟まれる恋する女の子の台詞が胸キュンすぎて、特に神岡実希さんの台詞「ねぇ、キスしてもいいんだよ?」がやばかった。キスしてもいい!? やばいよ。高校生に言わせる? 美少女に言わせる? 神岡さん好きになっちゃうよ。これはリアル乃木恋超えましたね…。本人も照れてるのに意外と乗り気なのが面白かった。


 そして今回の定期公演でいちばんうれしかったのは『ストローハットの夏想い』を歌ってくれたことです。まさか定期公演で歌ってくれるとは思っていなかったので心の中で大興奮していました(静かな曲なので不審な動きをしないように)。歌い出しの鉄戸美桜さんの歌がまず素晴らしく、そこからメンバーがひとりずつステージに現れて静かに重ねていく歌が本当に綺麗で、現実にはあるはずもない夏の思い出を見ている者に美しく想起させてくれます。


 うれしいことに私がストローハット大好きなことを鉄戸さんも認識しているので、歌い終わった後のMCでこちらを見ながら含み笑いしちゃったりして、なんなんだこの通じ合ってる感!! 鉄戸さんありがとう、ほんとよかった。夏終わったよ。ストローハットで完全に夏が終わりました(鉄戸さんだけのストローハットではないのですが…)。


 新メンバー3人も三者三様で成長していて頼もしい。星里奈さんの歌は公演を重ねる毎に綺麗さを増しているし、吉田万葉さんの軽やかなダンスは見ていて楽しくなります。そして井上姫月さんのふてぶてしさは増長するばかりです。私は星里奈さんの真面目なところも、しっかりと伝えようとする歌声も大好きですよ。


 あと公演最後に歌われた今夏のハコムスオリジナル曲『Let's Party Time!』が醸し出す夏の夕暮れの浜辺感最高です。オレンジ色の夕陽が優しくも眩しい。グルーヴできるギリギリの遅さのゆったりしたBPMのトラックで身体を揺らす気持ちよさよ。夏の最後に相応しいエンディングです(と書きつつ9月もまだ夏曲やってると思いますが)。


 楽しいハコムスでした。乃木坂46に熱を上げている最近ですが、ハコムスを見る度にグッと好きが引き戻されると毎回思ってて、結局ハコムスも好きなんですが、必死に追いかけるというところからは距離を置いている感じは否めなく、のんびりとこれからも見ていきたいなと思っている所存です。8月もありがとうございました。井上姫月さんといろんなことで喧嘩しているらしい、しかもいつも負けてるらしい吉田万葉さんも、姫月ちゃんに言い負かされないよう一緒にがんばろうな!!(私は握手会で姫月ちゃんに一方的に喋られて「お、おう…」としか言えなかった…泣)。






ストローハットの夏想い/斉藤由貴

"STRAYDOG" produce 『問題のない私たち』@シアターグリーン Big Tree Theater

 2015年7月にハコイリ♡ムスメを卒業して以降、表立った活動をしていなかった門前亜里さん。実際は大学受験とその後の大学での新生活に慣れるのに精一杯だったと思いますが、その門前さんが久しぶりに見られるとのことで、しかも舞台だというので見に行ってまいりました。門前さんの舞台演技を見たい見たいと以前から願っていた自分にとって待ちに待った機会です。うれしいことに現ハコムスの鉄戸美桜さんも出演。ハコムスでも演技派としてグループを引っ張っている(いた)2人がどのようなものを見せてくれるのか楽しみでありました。


 作品は過去何度も上演を繰り返している『問題のない私たち』。いじめをテーマにした、見る前から重いだろうなと思わせる作品です。実際重かったわ……。門前さん出演組の初回を見たとき、これをあと2回見ることに耐えられるだろうかと案じました。本当にいじめしかなかった。学校生活の中の青春の一部としてのいじめという感じでもなく、ただただいじめだった。つらい……。


 舞台の空気に押し潰されそうになりながらも、しかし門前さんの演技を見て、私は門前さんの演技が大好きだなと改めて思いました。伝わりづらいですが、演じていくうちに舞台上で透きとおっていく感じが大好きです。いやーでも好きな人が足蹴にされるのつらいなー……。


 鉄戸さんは歌を歌うシーンがあって、その歌が素晴らしかった。イントロが鳴った瞬間に、あ!! これは大好きなくるりだ!! 鉄戸さんがくるりを歌ってくれる!! と高まったものの、なんか違う、これなんだっけと少し迷った後にYUKIの『JOY』だとやっと気付いて再び高まりましたね。くるりも好きだけどYUKIも大好きなんだよ。鉄戸さんの歌は歌詞を丁寧に歌うところに優しさが垣間見れて、それが門前さんをいじめているときの鉄戸さんとは真逆な感じで、何故演劇の途中で歌が入るんだと疑問に思いつつも鉄戸さんの歌が聴けてとても幸せでした。初回公演の最後にはミニライブがあって、そこでは鉄戸門前によるゆず『夏色』を披露。夏が始まりましたね。


 作品自体は本当につらいですが、門前さんの演技を久しぶりに見れたことが何よりもうれしかった。それに尽きます。感謝。



追記
 『問題のない私たち』を初めて見たので過去の公演がどうなのかわかりませんが、後半のリストカットの話は演者を増やすためのオプション的な話ですよね?? 急に話が変わってびっくりしたよ。ただそこでの主役だった池田朱那さんの演技はすごかった。懸命に生きる瞳の強さに引き込まれまくったし、だからこそ最後の歌のシーンでのセンター池田さんがあの中でいちばん輝いていた。最後の池田さんの瞳でこちらの魂を鷲掴みにしてくる勢いが本当にすごかった。しかし一緒に見た知り合いは池田さんが演じたような泣き叫ぶ役はハマれば誰でもそこそこいい感じになるはずで池田さんがすごいのか役得なのかわからないと言っていて、確かにそこは難しいところだなと思いましたが…。