"STRAYDOG" produce 『問題のない私たち』@シアターグリーン Big Tree Theater

 2015年7月にハコイリ♡ムスメを卒業して以降、表立った活動をしていなかった門前亜里さん。実際は大学受験とその後の大学での新生活に慣れるのに精一杯だったと思いますが、その門前さんが久しぶりに見られるとのことで、しかも舞台だというので見に行ってまいりました。門前さんの舞台演技を見たい見たいと以前から願っていた自分にとって待ちに待った機会です。うれしいことに現ハコムスの鉄戸美桜さんも出演。ハコムスでも演技派としてグループを引っ張っている(いた)2人がどのようなものを見せてくれるのか楽しみでありました。


 作品は過去何度も上演を繰り返している『問題のない私たち』。いじめをテーマにした、見る前から重いだろうなと思わせる作品です。実際重かったわ……。門前さん出演組の初回を見たとき、これをあと2回見ることに耐えられるだろうかと案じました。本当にいじめしかなかった。学校生活の中の青春の一部としてのいじめという感じでもなく、ただただいじめだった。つらい……。


 舞台の空気に押し潰されそうになりながらも、しかし門前さんの演技を見て、私は門前さんの演技が大好きだなと改めて思いました。伝わりづらいですが、演じていくうちに舞台上で透きとおっていく感じが大好きです。いやーでも好きな人が足蹴にされるのつらいなー……。


 鉄戸さんは歌を歌うシーンがあって、その歌が素晴らしかった。イントロが鳴った瞬間に、あ!! これは大好きなくるりだ!! 鉄戸さんがくるりを歌ってくれる!! と高まったものの、なんか違う、これなんだっけと少し迷った後にYUKIの『JOY』だとやっと気付いて再び高まりましたね。くるりも好きだけどYUKIも大好きなんだよ。鉄戸さんの歌は歌詞を丁寧に歌うところに優しさが垣間見れて、それが門前さんをいじめているときの鉄戸さんとは真逆な感じで、何故演劇の途中で歌が入るんだと疑問に思いつつも鉄戸さんの歌が聴けてとても幸せでした。初回公演の最後にはミニライブがあって、そこでは鉄戸門前によるゆず『夏色』を披露。夏が始まりましたね。


 作品自体は本当につらいですが、門前さんの演技を久しぶりに見れたことが何よりもうれしかった。それに尽きます。感謝。



追記
 『問題のない私たち』を初めて見たので過去の公演がどうなのかわかりませんが、後半のリストカットの話は演者を増やすためのオプション的な話ですよね?? 急に話が変わってびっくりしたよ。ただそこでの主役だった池田朱那さんの演技はすごかった。懸命に生きる瞳の強さに引き込まれまくったし、だからこそ最後の歌のシーンでのセンター池田さんがあの中でいちばん輝いていた。最後の池田さんの瞳でこちらの魂を鷲掴みにしてくる勢いが本当にすごかった。しかし一緒に見た知り合いは池田さんが演じたような泣き叫ぶ役はハマれば誰でもそこそこいい感じになるはずで池田さんがすごいのか役得なのかわからないと言っていて、確かにそこは難しいところだなと思いましたが…。

仙台で乃木坂46を見て橋本奈々未さんに心を鷲掴みにされた話

 久しぶりにブログを書いてみようかなと思いました。あるときからライブとか舞台の感想を書くのが義務感っぽくなったなと感じ始めて、それはどうかなと思ったので少し書くのを休んでみたら思いのほか心が楽になったので、実際義務っぽくなっていたのだと思います。しかしまあブログを書くことは私にとって仕事ではないですしね。


 というわけでしばし休息からの久しぶりのブログ。最近いちばん熱を上げているのが乃木坂46でして、新し物好きが多い周りの人からは何を今更乃木坂なのかとよく言われますが、何かを好きになること、こればかりはタイミングでしかないと思っているので、どう言われようと今は乃木坂46が大好きです。


 周囲にも乃木坂好きな人は多く、それまでも乃木坂は好きでしたが遠くから眺めていた感じで、そこから好きがさらに加速したきっかけが46時間TVでした。何がどうとか上手く説明できないのですが、46時間いつでも乃木坂の皆さんが見える、生活の傍らに乃木坂がいる感じで急速に距離が近くなって惹かれていきました。その後は『ハルジオンが咲く頃』を買って、初めて全国握手会にも参加しました。そのままの勢いで福島まで行ってアンダーライブも見ました(しかし実は乃木坂ライブ2回目)。そのアンダーライブが素晴らしかったので帰りの新幹線で乃木坂モバイルに加入してモバメも登録しました。


 そして8月、乃木坂46の全員が参加する真夏の全国ツアーのチケットが幸運にも当たり、私は仙台公演に行ってきました。残念ながら桜井玲香さんは体調不良で欠席となってしまいましたが、それでもテレビや雑誌でしか見たことがないメンバーを、ずっと部屋で聴いていた曲を、生で体感できるとのことで大変楽しみにしていました。


 仙台公演の会場であるゼビオアリーナ仙台は今回のツアーの中でも規模の小さい会場とのことで(そう教えられたので申し込んだ)、間近で乃木坂の皆さんを見れるのではと期待していました。実際、想像を遥かに超える近さで乃木坂46のライブを見ることができました。すごかった。映像でしか体験したことのなかったことが生で目の前で繰り広げていることに純粋な感動がありました。


 仙台は3公演見ました。3公演とも楽しくて、仙台まで行ってよかったなと心から思いました。福島のアンダーライブで私を虜にして、仙台の全国ツアーでさらに幸せにしてくれて東北には感謝しかありません。東北最高。


 ライブで印象に残る出来事はたくさんありましたが、その中でいちばん感動したのは橋本奈々未さんでした。


 仙台最後の公演、その本編最後の曲である『ガールズルール』。白石麻衣さんが高らかに会場の全員をぶち上げたクライマックスのこの曲は、最後にメインステージで横1列になって踊るシーンがあります。2階スタンド席の、さらにメインステージからいちばん遠いブロックで見ていた私は、ただ全身で歌と踊りを受け止めるのみとなって、ぼーっと夢を見ているような感覚で爆音の『ガールズルール』と彼方の乃木坂を眺めていました。そのとき乃木坂の皆さんが一斉にくるりと回転したのですが、ひとりだけスカートがひらりと翻って鮮やかな裏地が見えたメンバーがいて私はハッとしました。誰だろうと目を凝らしてみたら(仙台はいちばん遠い席でも肉眼でメンバーが判別できるのです)、その人は橋本奈々未さんでした。橋本奈々未さんだと気付いた瞬間、隠された少女の美しさに触れたような気がして震えるような感動が訪れました。


 私はアイドルがワンピースやスカートの裾を翻す瞬間がいちばんアイドルらしく美しい瞬間だと思っています。あの瞬間の、アイドルとして振る舞っていることと、ひとりの人間として自由に振る舞っていることの調和が正しくとれているような美しさ、錯覚かもしれませんがアイドルとして生きていることの喜びを率直に表現しているようで、私はそうやって軽やかに回転する人が大好きです(そしてそういうことを強く思わせてくれたきっかけにアイドルネッサンス欅坂46がいます)。


 誰であれ美しく舞うアイドルは好きですが、あの『ガールズルール』で私の目に焼き付いたメンバーは橋本奈々未さんで、私はその人が橋本奈々未さんだということに感動してしまいました。


 正直仙台3公演を通じて、そこまで橋本奈々未さんを見ることは多くありませんでした。初めて参加した全国ツアーは、ステージ上のメンバーが多すぎてどこに目を向ければよいか困るときが多々あるぐらいだったので、注目できなかったメンバーもいました。


 常に落ち着いて見える橋本奈々未さんだからこそ、そういう弾けた仕草とのギャップに惹かれてしまったのかもしれません。橋本奈々未さんは乃木坂でも売れっ子のメンバーです。個人としての仕事もたくさんこなし、ファッション誌のモデルもやっていて、もうアイドルに固執する必要もないような、ぶっちゃけるといつ乃木坂を辞めてもおかしくない橋本奈々未さんが、あの瞬間いちばんアイドルとして輝いていたように私は見えました。そのことにとても感動しました。


 橋本奈々未さんというと去年公開されたドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』を思い出します。これはAKB系のドキュメンタリー映画で私が唯一映画館で見た映画です。その映画はメンバーの母の視点から娘が乃木坂46と関わってどう変わってきたのかを描いています。映画で取り上げられているのは選抜メンバーの中でも人気のある数人なのですが、映画を見た私は中でも橋本奈々未さんの不退転の決意に強く心を打たれました。北海道から東京に出てきて、なんとしてでも生き抜いていこうとして辿り着いた乃木坂46への気持ち。私は群馬生まれですが、地方で育ち、生まれた土地を飛び出した者にとって共鳴せざるを得ない橋本奈々未さんの決意。単純にかっこいいなと思いました。


 そのような事前の思い入れがあったからこそ、『ガールズルール』の橋本奈々未さんがとても美しく感じました。全力で走っている輝きがあった。それまで仙台2日間3公演、たくさんの楽しい出来事がありましたが、この橋本奈々未さんがすべてをかっさらっていきました。


 とても大切なものに出会えたような気がします。


 思い入れがないと感動できないのかと複雑な気持ちもあります。乃木坂46は人気のあるアイドルグループです。仙台公演MCで齋藤飛鳥さんは謙遜して日本で5本の指に入ると言っていましたが、実際客観的とかどうでもよくて、どんなアイドルであっても好きな人にとってはそのアイドルが1番のアイドルです。しかし人気のあることは事実であって、乃木坂46は様々な媒体でもっていろいろなことが語られています。そしてそれらを私達は取り込んで、自分と乃木坂の物語の一部とします。インタビューで語られる不遇なアンダー、選抜入りの厳しさ、メンバーブログでは時折どうやれば人気が出るのか答えのない悩みが綴られます。それらにいいように引き込まれているなという自覚はあります。踊らされているとわかって踊っている。それでも楽しい。操られているもどかしさはあるものの、もうそれでもいいのかなという諦念もあります。どうであっても、そういうストーリーを紡いだ先で私は橋本奈々未さんに感動しました。あの瞬間の橋本奈々未さんはとても美しかったです。


 遅いスタートだけど、乃木坂46を好きになってよかった、そう思わせてくれた仙台でした。ありがとう。




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劇団ハーベスト第9回公演『起死回生スウィングバイ』@下北沢・小劇場B1

惑星探査機「ボイジャー2号」は、木星を探査したあと土星天王星海王星へと飛行しました。はじめに木星の重力圏(じゅうりょくけん)に入ったボイジャーは、木星の重力を利用して軌道(きどう)を変更し、次の土星へ、さらに天王星へと向かう軌道にのりました。このように、惑星の重力を利用して軌道を変更する方法を「スイングバイ」といいます。この航法の特徴は、探査機の進行方向を変えるだけでなく、加速したり減速したりすることができることです。ボイジャーは、地球を出たときは、木星まで行ける速度しかありませんでしたが、スイングバイで加速することによってそれ以上の飛行が可能になりました。


http://spaceinfo.jaxa.jp/ja/swingby_navigation.html

ある事がきっかけで自分の言葉を飲み込むようになった高校生・春の夢は、女優になること。
春はある日、オーディションで出会った仁夏に誘われ、仁夏の劇団を見学することに。
しかし、その「劇団スターシップ」は、メンバーの脱退、作家のスランプでグラッグラ!
さらに負けたら解散の劇団デスマッチまで申し込まれ、もはや崩壊寸前!?
それにどうやら稽古場の図書館には、言葉好きで不思議なメンバーたちもいるようで・・・。
強がりとごまかしと優しさのメッキをはがしながら、もがいて走り出した彼女たち!
交わせなくって、ぶつかりながらのダイヤローグ&モノローグ!
果たして劇団スターシップは、起死回生できるのか?
そして春は自分の言葉を見つけられるのか?


http://her-best.net/event.html#live-8683


 過去最高傑作です!!!!!


 そう断言出来るほど素晴らしく、私はこの作品が大好きです!!!!!


 公演名は『起死回生スウィングバイ』。どこかへ力一杯放り投げられるような遠心力、あるいは求心力のあるタイトルが名付けられた本公演は、主演こそ青山美郷さんだが、ステージの全員がスウィングバイして未来へ飛び出していく公演だった。プロデューサーの山本萌花さんらしい非常に疾走感のある舞台。山本さんに後悔は似合わないよね。


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 言葉を飲み込みがちな主人公春は偶然オーディションで会った山本萌花さん演じる仁夏に誘われ小さな劇団に迷い込む。そこから始まるドタバタストーリー。図書館の本から飛び出た本の神様? 妖精? 妖怪? に助けられて本当の自分の言葉を吐き出す春。心から言いたい言葉を口にすると降ってくる言の葉。考えるよりも早く行動する仁夏と振り回される面々。離ればなれになりそうな劇団はひとつにまとまれるのか。


 人が言葉で引き合い、スウィングバイしていく。その遊泳感が素晴らしい。


 古典名著を彷徨い、言葉の海を泳ぎながら春の成長を見つめていくストーリーは、とても他人の話のようには思えず、それは私のための話だった。主人公の春ではないけれど、私も小さい頃から今に至るまで言葉を飲み込みがちな性格なので春の気持ちがすごくわかるし、そうやって自分を解き放つことの出来た春を頼って自分もスウィングバイさせられた。


 全員素晴らしかった。公演アンケートで初めて全員良かったと書いたよ。しかし中でも青山美郷さんと山本萌花さんが素晴らしかった。この二人の引力が劇団ハーベストを果てのない宇宙へとスウィングバイしているように思う。青山さんの静かな、それでいて何か得体の知れないものを秘めている星雲のような佇まい、山本さんの生まれたばかりの星のような熱く燃えさかる気合い、この二者が引き合うことで遠くよりもさらに遠くへと跳躍していく途方もなさが感じられた。


 最後、密に密に空間を満たしていくかの如く放たれる言葉の数々は、耳よりも全身で受け止めねばならず、しかもそれは受け止めようにも吹き飛ばされるほどの強さがあった。


 冷静になるととても小劇場っぽさがある作品だった。物語の中心に劇団があることも関係あるのか、青山さんの衣装なども小劇場の作品らしさがあったし、いかにも演劇らしい台詞回しなどこれまで以上に小劇場っぽさがあった。それは劇団ハーベストが進む道を暗示しているように思えたのは思考の早とちりだろうか。今回の作品は役が主に20代前半(妖怪は数えない)。大学を出てどうするかとか、夢と現実の折り合いをどうつけるか、ストーリーの中に将来についての不安をかなり織り交ぜていて、それはつまり劇団ハーベストとしての将来も不安なのかなと考えてしまった(考えすぎです)。当たり前だけど不安だよね。学生なりなんなり守られた年代の外に出たとき、私達はどう進むべきなのか。迷いつつもそれに一筋の希望を与えようとしていたのが本作であると思う。そこでプロデューサー山本萌花さんの勢いの良さが活かされていたように感じた。山本さんが本公演のテーマに掲げた『青い炎』。その熱さが皆を遠くへスウィングバイさせていた。


 以下、ストーリーの流れに沿っているようで順不同な感想。

  • ステージは正方形で、その2辺に面して客席がある。なので厳密な正面というのが無い。
  • 青山美郷さん演じる主人公の春の衣装が小劇場っぽい。小劇場っぽいというのも上手く説明出来ないけど。小劇場っぽいというか演劇っぽい??
  • 劇団ハーベスト最年長の青山さんが最年少を演じるというプロデューサー山本萌花さんの配役の素晴らしさよ。
  • 開演時のステージには言葉が上から吊られていて、赤黒大小の文字からなるその言葉達も演劇っぽさがあった。
  • 全員で姿勢を低くして走るシーンの足が床をすうーっと滑る音を聞いて舞台を観てるんだ! という臨場感があった。
  • 劇中内劇団である劇団スターシップの脚本家千佳、演じる松永ミチルさんがベージュのタイトスカートにボーダーシャツ、カールを効かせたちょっと長めのボブにお洒落よりも知的さを感じさせる眼鏡と、完璧にコーディネートされていて、さすが松永ミチルさんだなと。松永さんのコーディネート大好きだよ。自前コーディネートでの松永さんのポートレート撮りたさがある。あと今回のパンフレットもすごく良かった。裏表紙はUnionオマージュですよね?
  • ミラクル8からの松永さんの脚本家キャラは定着したのかな。
  • 望月瑠菜さんの役も合コン行ったりと、そういうキャラを演じがちですよね。
  • 台詞にも出てきた珉亭に千秋楽が終わってから行こうとしたら満席だったよ残念。
  • 突然の本能寺の変にびっくりしたけど(ここで本能寺の変と書いているときでさえその唐突さにびっくりする)、その驚きを超えて高橋紗良さんの織田信長に笑ってしまった。目をかっぴらいた織田信長最高でしょ。
  • 演技に酔う川畑光瑠さんは演劇あるあるということなのかな。
  • スターシップの劇団員を巻き込んでの妖怪達の殺陣の、もうぐちゃぐちゃでわけわかんない感じ最高だった。
  • 劇団と妖怪の両方の接点である天野(客演の吉村京太さん)の立ち回りが本当素晴らしい。
  • 本の妖怪ではなくて図書分類の妖怪なのね。図書館の背表紙に貼ってある番号のシールみたいなのが妖怪の背中にある。
  • おっさんという命名の身も蓋もなさ。
  • 何度でも言いたくなるジョバちゃんの語感。
  • ブンガクはたまにYOSHIKIになる。PSYCHEDELIC VIOLENCE CRIME OF VISUAL SHOCK
  • いろいろなシーン、演技の節々に、過去の作品の影を見出してしまい、そこに今の成長を実感して、こうやって素晴らしい作品となっていることに見続けてきた幸福を感じる。
  • 劇団スターシップを辞めた咲。咲の劇団脱退はまだ保留しているつもりの仁夏が、春について咲に似ているから放っておけなくて劇団に誘ったと言っているのはやはり既に諦めているよね。
  • 客演の小野木里奈さん演じる咲と新メンバーの葛岡有さん井上結愛さんが劇団デスマッチを申し込むライバル劇団である劇団リリカルハンターのメンバー。よし、言葉狩りだ!
  • 新メンバーの葛岡さん堂々としてると思ったら元アイドルなのね。
  • 思い出してみたら、冬の特別公演千秋楽も行ってないし、5周年記念イベントも行ってないので新メンバー初見だったわ。
  • 劇団デスマッチは負けたほうが劇団を解散させなければいけないルール。相手は人気劇団で勝ち目は無さそうなのになんとかなるっしょと楽観的なところがいかにも山本さんプロデュース作品らしい。
  • この作品では山本さんがいつも以上に山本さんらしかった。山本さんが山本さんを演じているようにさえ思えた。
  • 妖怪達と会話しているときや本について話しているときの春のいきいきとしている表情が良い。
  • ブンガクとのロミジュリの完璧な演技に、だからこそ春は演劇未経験なのに時代劇版ロミジュリのオーディションに応募したのね。
  • 裏設定としてちゃんと時代劇版ロミジュリも作り込んであるはず。どこかで見たい。
  • 弓木菜生さんの演技にときたまハッとする瞬間がある。今作ではカムという妖怪役だが、弓木さんは非現実の存在を演じるのが上手そうというかこれは褒め言葉になってないかも。
  • おっさんが肩に青い鳥を乗せているのをかなり引っ張ってからネタにするの笑えた。
  • 布施日花梨さん演じる先生がダンスレッスンを開いているときのブンガクのやる気の無さが最高。
  • 加藤梨里香さんの歌が素晴らしすぎた。下北沢の地下が帝国劇場に早変わり。これが大女優だと圧倒してくる歌。合わせる布施ちゃんのダンスもその柔らかさが良かった。
  • 銀河鉄道の夜』のジョバンニとカムパネルラが仁夏と咲の関係と対応するということなのかな。
  • 春と仁夏の物語のようで、咲と仁夏の物語でもある。
  • 自分本位なところの多い妖怪の中にあって、ジョバちゃんはジョバンニに感情移入しているのが感情豊かな宮武佳央さんらしくて良かった。
  • 結構みんな当て書きですよね。
  • 弓木さんの「ジョバちゃん」という呼び方に愛おしさしか感じない。
  • 自分の本心が出た言葉を発すると降ってくる言の葉。最初言の葉が見えない人もいたということは降らした人にしか見えないということなのかな。
  • 妖怪達に助けられて自分の言葉を探す春。しかし妖怪のおっさんはニーチェフロイトなどの他人の名言ばかり引用する面白さ。図書館の妖怪だからね。
  • 春が下北沢駅から劇場までの道を早口で言うのが、ただ道順を言うだけなのに不思議な感動があった。
  • 春のガラの悪い言い掛かりが静かに狂気を含んでそうな青山さんらしさがあって最高。
  • 馬鹿馬鹿言い合って、最後に春がワンテンポ遅れて馬鹿って言うのが愛おしい。もうみんな涙〜
  • 仁夏を除く劇団スターシップ4人で本音で話し合った後にひょっこり仁夏がやってきて、春が「今いい感じだったのに!」と捲したてるのが、その場面で既に泣いてはいたけれど完全に泣きに持っていかなくて泣き笑いのように仕立てあげてたのが素晴らしかった。
  • 山本さんを相手に青山加藤望月松永さんが並んで対峙しているフォーメーションが今の劇団ハーベストの中心となる存在を表現しているようで、今はそこに望月さん松永さんも加わっていていることが成長だよね。
  • ステージの2辺の客席の真ん中の角に演者が立って意識的に背中を向けて演技していることが多くて、その見えない表情を想像しながら見るのが面白かった。
  • 新メンバー2人にも見せ場あったー。言の葉降ってきたー
  • 後唐突に劇中劇が始まるけど、難なく状況が理解出来てしまうのはそれまでの話の運び方が上手かったからだろうなと思う。
  • 主に『走れメロス』と『竹取物語』が下敷きになってるのかな。
  • かぐや姫役の山本さんマジでキュートなんですが。可愛くしようとするときの山本さんマジで可愛い。今回はウザさ成分少なめ。
  • 巫女さん的な衣装にはこれまで興味ないなと思ってたけど、かぐや姫イメージな衣装の山本加藤望月さんマジでキュートなんですが。
  • 近くで見てないからわからないけど、衣装の生地が薄い感じで、その透明感が好きだったのかもしれない。
  • 翁みたいなたかさらは一体誰なんだ。
  • 長刀を逆手で持ってひた走る加藤さんかっこよすぎ。
  • いやでも望月さんもただ走ってるだけで凛々しすぎでしょ。
  • 登場の仕方が超ガーリーでハートがキュンキュンにデコられてそうな山本かぐや姫も走る姿はかっこいい。
  • 女傑感たっぷりでイメージ通りの悪役な布施ちゃんの妖艶さが最高。
  • 山本加藤望月 対 布施松永川畑 の殺陣がクライマックス(だと思ってた)。
  • 殺陣がやばいくらいかっこいい。
  • 狭いステージで殺陣を繰り広げるから後ろの席でも迫力あった。
  • 加藤さんと望月さんの太刀捌きかっこよかった!! そのかっこよさを引き出していた松永さん川畑さんの悪役も素晴らしい。
  • 加藤さんの刀を持ちながら側転最高でしょ。
  • 山本かぐや姫が二刀流で戦うの最高でしょ。
  • 山本かぐや姫の二刀流が舞いのようだった。
  • 満を持して布施ちゃんが襲いかかるの最高でしょ。
  • 山本かぐや姫のピンチに宮武さんが銃を持って出てきたときの世界観がぎゅいんと歪んだ感じ、『トレインマジック』での常磐線のVを思い出してしまった。これだけかっこいい殺陣を見せつけておいて最強の武器が銃なの最高でしょ。
  • 萩尾望都的というか古いSF少女漫画の雰囲気をすごく感じた。竹取物語自体そうか。
  • 月が舞台だと思ってたけど実際どこなんでしょうね。
  • たかさら翁がいるってことは地球なのか!?
  • 「帰りも走れ〜」最高〜
  • 山本かぐや姫が春と向き合って話しながら実は春を通して咲と話しているような演出素晴らしかった。
  • 「劇団名決めたときのこと覚えてる?」と懐かしむように言う仁夏の言葉に『わたしの星』のナナホとスピカを思い出してしまい、それはもううわーっという感覚になった。
  • 仁夏「星に手が届きそう!」のいかにも演劇らしさがこれは高度なギャグなのかと不安になるよりも速くエモさ爆発。こういうのに自分は弱い。
  • 劇団が舞台のストーリーだから当然だけど、とても演劇っぽかった。演劇っぽいというのは否定的に使われがちだけど、今作ではその演劇っぽさによってメッセージがすごく強さを持って伝わってきた。だから演劇は演劇っぽくなるのか??
  • 殺陣がクライマックスだと思ってたけど最後の最後が本当のクライマックスだった。
  • 最後の言葉、かっこよすぎて涙が止まらなかった。
  • 「一億光年の旅に出よう」「さようなら」「ありがとう」、これぐらいしか覚えてない。最後のあの部分の台詞だけ教えてください><
  • 視線をひたと動かさずに放たれる言葉の強さよ。
  • 特に舞台の中心で言葉を放つ青山さんの存在感に圧倒された。春が成長したんだ!
  • 最後最高最後最高最後最高!!!!!
  • 言葉の宇宙へ吹き飛ばされる!!!!
  • 広瀬咲楽さんの歌は、広瀬さんの演技の記憶と歌声のイメージが一致しなくて不思議な感じになるのが面白かった。音源化希望だよ。
  • 千秋楽最後の挨拶で、これが初めての舞台だった井上結愛さんはそりゃ泣いちゃうよね。


 こういう感想って役名と演者名のどちらで書けばよいか迷いますね。唯一残念だったのが、私は2回観たけど2回ともほぼ同じポジションからの観劇になってしまったこと。いろんな方向から観たかった。当日券とSMA最速先行でほとんど席が変わらないってどういうことよ(泣)。


 本当に全員がかっこよくて演劇に対して真摯で、この劇団の4年が超新星のように詰まっていながら、ひたと前を向いて走っている作品だった。春という季節、新しくスタートラインに立つに相応しい季節にこのような背中を押してくれる作品と出会えて感謝してる。素晴らしい公演をありがとう!!!