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 ハコイリ♡ムスメがCDをリリースしてからというもの、毎朝ハコムスの曲を聴いている。そして聴きすぎて起きるタイミングを毎朝逃している。


 ハコムスの歌う曲が好きだ。しかしそこには歌詞に共感できましたとか、ありがちな理由はない。ハコムスの曲で歌われるのは果てしなく遠い世界の話だ。誰かが過去に体験したかもしれない青春でもあり得ないぐらい、映画や漫画のような、限りなく美化された幻想の物語である。でも響いてくる。ファンタジーのようなストーリーがステージ上で現実と夢想の狭間で紡ぎ出されると、手を引かれるようにその世界を歩かせてくれる。その中でも最近は『さよならのプリエール』が好きだ。メロディーが秋から冬にかけての静かな夜によく合う。特に間奏が好きだ。グッと溜めてから奏でられるストリングスがふんわりと深いクッションに心を沈み込ませる。心がいつもよりもしっとりとした平穏に近付く。ライブでこの間奏を見るといつも感動させられる。このシーンは鉄戸美桜さんと阿部かれんさんがバレエを踊り、そこからさらに全員で舞いを合わせていく。ストリングスとバレエ、指先を見つめながらも伏せた瞳。ピンと張られた弦楽器のような心地良い緊張感がそこにある。そのまつげの微かな揺れに身を委ねるのがこの秋冬のいちばんの癒し。プリエールで眠りたい。


 冬を『さよならのプリエール』と共に過ごせることが幸せだ。小松もかさんの澄んだ瞳は東京の夜に一等星を輝かせてくれる。瞳が迷いない道しるべとなる。その下で生きてゆけることに幸福を感じつつ、私も祈る。