ハコイリ♡ムスメ『DX劇団ハコムス』@AKIBAカルチャーズ劇場(20151013)

 女優志望の女の子7人からなるハコイリ♡ムスメ。彼女達はAKIBAカルチャーズ劇場での定期公演においてお芝居と歌を組み合わせた劇団ハコムスという演目を披露しています。女優でもある彼女達の真価が発揮されるのがこの劇団ハコムスであり、僕は劇団ハコムスが大好きで、だから追いかけているといっても過言ではありません。そのハコムスが、10月からは隔週で劇団ハコムスだけの公演を行うこととなりました。お芝居のみだそうです。題してDX劇団ハコムス。事前の告知では全6公演。3本のストーリーをそれぞれ2公演ずつ、だったはず…。しかし諸々の事情で(間に合わなかったのかなー?)、新しいお話は2本となり、初回10月13日は過去に披露した劇団ハコムスをまとめての総集編公演でした。

  1. なぜ?
  2. SUMMER LOVER大作戦
  3. 星座占いで瞳を閉じて
  4. 日曜はダメよ
  5. 泣かないでエンジェル


 9月の定期公演でアナウンスしてたときはマイク無しの演技です!! と言ってたような気もするけどマイク有りでした。やっぱりマイクあるとなんか違うよね……。


 『なぜ?』はゲイバーのお話。皆さん私服でした。それぞれゲイバーのお芝居に合う服を選んできたそうです。小松もかさんの黒を基調としたコーデもお淑やかで好きだし、阿部かれんさんの白いベレーにチェックが映える秋模様も素敵すぎた。ぽにょはTwitterとかで見る私服よりも女の子らしく、デート仕様の内山珠希さんは華やかで、ヒールも高く完璧に決まってましたね。そして男役の鉄戸美桜さんは、本人が自分のクローゼットをひっくり返して考えに考えて選んだであろう男っぽい服装の野暮ったさが最高でした。鉄戸さんにしては珍しいジーンズ姿が絶妙に昭和だ。恋人同士という設定の珠希さんと並ぶと鉄戸さんがヒモっぽいとぽにょに評されてましたが、まあ、どうしたら珠希さんみたいないい女を彼女にできるんだみたいな貧乏苦学生っぽさが鉄戸さんにはありました。駅から商店街を抜けて徒歩15分のボロアパート、勉学に励む隣部屋の鉄戸さんに実家から送られてきた野菜をお裾分けしたい人生だった。妄想は置いといて、お芝居もみんなゲイっぷりが板についてます。特に神岡実希さんのオネエ言葉がくどくて良かったなあ。でもやはりこの日のDX劇団ハコムス、全体を通しても主役は小松もかさんでした。『なぜ?』の主演はゲイバーのママである小松もかさんですが、この日も素晴らしかった。恋破れた小松さんの瞳から涙がすうっと流れて、一筋の流れ星となって散ったとき、僕には小松さん以外何も見えませんでした。スイッチが入った小松さんの女優としてのすごさを見た気がします。まさに小松劇場でした。涙を流されると当然こちらも感情を持っていかれるわけで、その点において評価してしまいがちな自分の安直さにはがっかりしますが、それでもやはり小松もかさんは良かった。泣けばいいんでしょみたいには思われたくないんですがね。そして小松さんの叫びを引き継いで始まるイントロ。去年から成長して、より世界の広がりが感じられる『なぜ?』の歌に聴き惚れてしまいました。珠希さんや鉄戸さんの歌も良いけど、お芝居の感情をそのまま歌に乗せた小松さんが誰よりも素晴らしかった。


 続いてはセックスアンドなんちゃらをオマージュしているらしい女子会トーク。なんと、阿部かれんさんがリクルートスーツでOLに大変身。最高!! OLにしてはフレッシュすぎるけど最高!! タイトスカートから伸びる脚にはちゃんとストッキングまで穿いててディテールもばっちりです。あからさまにおまえらこういうの好きだろと嘲られているようで、若干イラッときますが好きなのだからしょうがない。にしても阿部ちゃんはブラウスのボタン外しすぎかなー。とまあ、阿部ちゃんに全部持っていかれた演目でしたね。


 ここからは懐かしい劇団ハコムス。『星座占いで瞳を閉じて』と『日曜はダメよ』。この2曲は久しく聴けてなかったので、このためだけでも本当に来てよかった。間奏でじゃれあう神岡さんとぽにょから漏れる声に耳を澄ますのも久しぶりで、去年を思い出して懐かしさを感じます。鉄戸さんと珠希さんのバレエも再び見れたし、二人のハーモニーも素晴らしくて、本当に癒されます。


 最後は9月に披露したばかりの『泣かないでエンジェル』。『レモネードキッス』と『夏に急かされて』からインスパイアされたお芝居はとても切ない。けれど、それは成長を感じさせる夏の終わりです。セーラー服でいかにも昭和な女学生の神岡さんと鉄戸さんも良かったし、鉄戸さんのふんわりしたセミロングにセーラー服はとても似合っていました(セーラー服自体は安っぽいコスプレセーラー服だったけど)。幼馴染みへの片想いに悩む鉄戸さんもさすがの女優っぷり。『AKIRA』のときと同じく、長台詞で場の空気をしっかり作り上げていましたね。ただ、この作品は珠希さんの演技が好きなんだなー。イケイケそうでも相手を思って積極的になれない女の子の繊細な部分を細やかに演じていて、所詮ギャップかなーと思いつつも、やっぱりこのお芝居での珠希さん大好きよ。あと、菅沼もにかちゃんの唐突な「あ、朝日」には笑いを堪えるのに必死でしたが。


 ライブもあるよと知ったときは、これはお芝居の公演なんだからライブ蛇足だなと思ってましたが、公演見た後はお芝居蛇足でしょといいたくなるぐらいライブのほうが良かった。本末転倒じゃないか…。懐古厨しか喜ばない感じだけど…。というわけで、仕事終わりにハコムスと出会えたことで幸せではあるもののそこまでテンション激アガりということにはならず、再来週に期待ぐらいの気持ちに落ち着いたのでチェキは撮りませんでした。ごめんね。劇団ハコムスの総集編ということで、新しい感動をガツンと受け取る、というものではなかったけれど、季節を巡って成長した今のハコムスを見れて良かったです。次回のDX劇団ハコムスからは本当に本格的なお芝居になるとのことで期待してますよ。稽古頑張ってね。ありがとう。