ハコイリ♡ムスメ『ハコイリ♡ムスメの定期便9月号 ~夏の記憶、ハコに還るトキ~』@AKIBAカルチャーズ劇場(20150920)

 夏の魅力がぐっと詰まったハコムスでした。いや最高。この夏、これまでのお淑やかなイメージのハコムスから一歩踏み出してみようとハコから飛び出たハコムス。夏のオリジナル曲である『夏に急かされて』などを武器に、いろいろなイベントでハコムスでしか魅せられない夏を届けてきました。そして9月、もう夏の陽気も去った頃の定期公演。この公演が終わっても僕にはまだハコに還れてないような気配を抱きますが、それでももう夏のハコムスは終わりなのですね。

  1. 告白
  2. SUMMER LOVER大作戦
  3. アンブレラ・エンジェル
  4. 避暑地の森の天使たち
  5. レモネード・キッス
  6. ストローハットの夏想い
  7. 泣かないでエンジェル
  8. 夏に急かされて


 『告白』は躍動感溢れるぽにょが最高。始まりの2曲に続いて、ぽにょが次の2曲はテーマでいうと「天使」と、それはうれしそうに言うので、簡単に予想がついた『アンブレラ・エンジェル』。くるくる回る傘の舞いを再び観れるとは思わなかったのでうれしかったです。センターのぽにょ可愛いよー。ぽにょお誕生日おめでとー。続いての『避暑地の森の天使たち』も今年の夏はたくさん聴きました。この曲は神岡実希さんの歌が大好き。ちょっとかすれ気味な歌声が麻のような涼しさを耳に届けてくれて、一緒にこの夏の思い出も甦らせてくれます。


 『レモネード・キッス』は僕とハコムスとの今年の夏を代表する曲。1番の鉄戸美桜さんも良いのですが、僕はそれ以上に2番の神岡実希さんが大好きです。2番サビの「まだおでこに残ってる、あのキッスと苦いレモネード」の神岡さんが大好きで、少し切ない感じに歌う神岡さんの伏し目がちな瞳が夏の儚さを何よりも伝えてくれます。この曲に限らず、神岡さんの瞳はいつも何かを物語っていて、その視線に宿る想いを想像しながら観ることは、いかにもハコムスらしいのでは思ったりもします。この『レモネード・キッス』ともそろそろお別れとは本当に寂しい。


 『ストローハットの夏想い』は、8月の定期公演で聴いて大好きになって、その後もどこかで歌うかなとは期待しててもなかなか歌ってくれなかった曲。とうとう9月、夏も終わりに近付いてしまいました。でも夏の最後に歌ってくれて感無量です。この曲は本当に大好き。『ストローハットの夏想い』を聴くと、夏の午後の波音が聞こえてきます。静かな、胸に沁みる曲です。1人ずつステージに出てきて歌う、その1人目が鉄戸美桜さんで、その瞬間で世界が美しくきらめくのが大好きで大好きで、最後に出てくる神岡実希さんまで、7人のハーモニーがとても素晴らしいです。やっぱりハコムスの斉藤由貴曲は外れが無い。曲の最後、登場と同じように1人ずつ帽子を置いてステージを去っていくのですが、このときの夏の余韻にはとても切なく胸に迫るものがあります。最後に去るのは鉄戸さんで、胸に秘めた想いは胸に秘めたまま、でも鉄戸さんの佇まいからは思い出を大切にしていく少女らしさが伝わってきて、まさしく夏の終わりのクライマックスでした。素晴らしかったです。


 そして、9月定期公演の目玉、劇団ハコムスは『レモネード・キッス』と『夏に急かされて』の2曲の後日談のようなストーリーでした。森組と海組に別れて、それぞれの話を繰り広げて、最後に歌うはQlairの『泣かないでエンジェル』。森組のお話は、ありがちな夏休みの間で雰囲気がガラッと変わっちゃった女の子をぽにょと阿部かれんさんが演じていて、ぽにょは夏女内山珠希さんの影響なのか何なのか、イケイケのLPWなガールに大変身。ぽにょの動きからも『夏に急かされて』の珠希さんを真似た台詞の「ラヴ・ピース・ワールド」からも、言動には良い悪意を感じましたね。ぽんこつLPW最高です。かわって阿部ちゃんはスケバンヤンキーで、スタイルの良い阿部ちゃんが裾の長いセーラー服を着ると似合いすぎてチビりそうでしたよ。怒ったりするときも可愛い印象がある阿部ちゃんですが、声を張った演技もすごく良くてかっこよかった。ぽにょの演技指導が珠希さんなのはもちろんですが、阿部ちゃんの指導も珠希さんとのことで、珠希さん有能すぎるでしょ…。そんな夏休みで大変貌してしまった女の子達をよそに神岡実希さんと夏の出来事を話す鉄戸美桜さんは心ここに在らずといった雰囲気で落ち込んでそう。片想いしてる幼なじみの彼には彼女がいて、それでも彼が大好きで、告白して彼の笑顔を曇らせたくなくて、というようなことを涙混じりで語ります。切ない。切なすぎる。これは甘いものを食べさせても癒せる心の痛みでは無い。そんな複雑な心情の女の子を鉄戸さんが見事に演じてました。前半のぽにょ阿部ちゃんの大爆笑から、後半のシリアスな鉄戸さんへの急展開が素晴らしく、ひとつのお話でここまで緩急をつけられるのはすごいと思います。結局なんだかうまくまとめられて、最後に神岡さんが鉄戸さんに言う「この夏はあんたがいちばん変わったね」という言葉は、現実に戻って、これこそまさにその通りで、門前亜里さんがいなくなったハコムスで鉄戸さんはリーダーとしていちばん変わったと思います。テンションがおかしくなったという意味では神岡さんのテンションがいちばんやばいんですがね。成長という点では、鉄戸さんのここ最近の責任感強すぎるくらいのリーダーっぷりは頼もしいなと思います。いいこと言うじゃん神岡さん。


 森組に続いては海組で、まずは小松もかさんと菅沼もにかさんが出てきて地べたに座ったので、ここはもしかして砂浜ではと思ったところで、この夏の主演女優である内山珠希さんが登場。背景としてコンビニ前が大写しとなり、みんなが「ちーっす」と挨拶し始めて大ズッコケですよ。うちらの友情に乾杯てなんだよ…(笑)。こちらも森組と同じく夏の恋バナとなりますが、珠希さんの恋もうまくいってない模様。森も海もどうしちまったんだよ。珠希さんは7月の門前亜里さん卒業公演でマイク無しの演技がかっこよかったのが記憶に残っていて、今回もそのときに負けない演技でしたね。シリアス珠希さんも好きですよー。2つのお話が終わった後に新曲カバー、Qlair『泣かないでエンジェル』でした。『レモネード・キッス』と『夏に急かされて』で綴られた物語が『泣かないでエンジェル』で幕を閉じられます。素晴らしい流れ。『泣かないでエンジェル』でのぽにょの、身体に夏が凝縮されて漲っているようなパフォーマンスが印象的でした。


 劇団ハコムス後のMCでも言ってましたが、『泣かないでエンジェル』の歌詞にある「このままでいられるなら妹で構わない 悲しみを隠してでも友達でいたかった」というのが劇団ハコムスと繋がってきます。まるで幼なじみの男の子に片想いしている『レモネード・キッス』の歌詞はこの曲と姉妹になるように作られたのかとさえ思ってしまいます。劇中、鉄戸さんはスケバン阿部ちゃんに悲しいことも思い出にしちまえばいいんだよと言われますが、どうしようもないことでも思い出にできるのか。難しいけれど、時間だけを味方にして、どんなことも思い出にできるのかな。


 門前亜里さんがいなくなった今、劇団ハコムスは鉄戸美桜さんを中心に再び羽ばたこうとしている強さが感じられました。10月からは隔週でお芝居のみの公演も行うとのことで、女優としてのハコムスにこれからもっともっと期待しちゃいますよ。


 公演の最後は、やはり『夏に急かされて』です。これしかないです。今年の夏は内山"LPW"珠希さんの夏でした。この曲を歌う珠希さんは誰よりもかっこよくて、夏のすべてを味方につけていたように思います。本人も自信満々に歌うので、センターで歌う珠希さんには女王の風格があります。この日は歌う前からかっこよかった。曲紹介をしてイントロのポーズのため後ろ向きになるのですが、そのときのくるっと後ろに向くターンでの髪のなびかせ方が最高にかっこいいんですよ。あなた、夏の何なんだよ。このターンもちゃんと練習してるなというのが感じられて最高の最高。曲が始まってからも、センターでのモデルウォーキングも様になってるし、珠希さんはどの瞬間を切り取ってもかっこよすぎる。間奏明けの「Love Peace World」も、この夏のすべてをまとめて花火で打ち上げたようや響きで最高でして、珠希さん最高だよ。


 ハコに還る直前の、最高の定期公演でした。みんな眩しい。こうやって成長してるハコムスを見ると、この夏はかけがえのない夏だったんだなという思いを新たにします。10月からはまた新しい秋のハコムスとなり、どんなことになるのかドキドキですが、とりあえず今年の夏はハコムスに両手溢れるくらいの感謝をしたい。この夏はありがとーー!!!!!!!