『海街diary』

 穏やかだけど、時の流れの強さみたいなものを感じた映画でした。


 diaryと言うだけあって、日記のように淡々と日々が描かれていきます。季節の流れが感情の起伏を緩やかに馴らすように、淡々と、止まることなく進んでいきます。2時間ほどの上映時間で1年を巡る。なので、ゆったりしているようでとてもスピード感があります。深呼吸をすれば次の季節ぐらいの感覚。こういう映画は眠くなりがちだけど、これはそのスピード感のためにあくびをする余裕もありませんでした。綾瀬はるか長澤まさみ夏帆広瀬すずと、まったく似ていない四姉妹なのに、何故か似ているように思えてしまう強引さがある。というか自分が騙されやすいだけなのかも。姉妹は似ていなくとも、原作のキャラクターにはほぼほぼ忠実でした。特に広瀬すずさんのサッカーシーンはかっこよかった。広瀬すずさんは見せるシーンがたくさんあり、教室から窓の外を眺めやるシーンなども完璧な画。


 喪服を着ている場面が多く、死と隣り合わせの空気が常にありました。暗い影が強い。常に死について意識させます。生きていく上で、そことどう折り合いをつけるか。それぞれが模索します。しかしそれで陰鬱となるかというとそうでもなく、鎌倉の情景に溶け込んだ四姉妹が生をきらめかせてくれます。


 大きな事件も無く、淡々と過ぎていく時間の中に放り込まれて、ずっとこの姉妹の物語を観ていたい気分。静かに美しい映画でした。


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