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『江ノ島プリズム』舞台挨拶@シネマート新宿(20130824)

 未来穂香さんの舞台挨拶を目当てで『江ノ島プリズム』を観てきました。結論から書くと好きな映画でした。福士蒼汰と本田翼の組み合わせで、いくら宣伝ではジュブナイルSFと言っていても、その2人なら恋愛物にならないわけがないでしょ、と宣伝文句を信じずに観に行ったのですが、あろうことか正直に宣伝通りのジュブナイルSFでした。これじゃジャロも訴えられないじゃろ。恋愛要素もないわけじゃないんですが、全体的に恋愛より友情みたいな空気に包まれてて、種市やばっさーにもっと胸キュンしたくなるようなシーンを用意しなさいよと在らぬ心配までしたくなるほどです。舞台挨拶の回といっても、未来穂香さん目的で来ているのはほんの少数、観客の8割は女性で、その女性達を置いてけぼりにするような、完全懐古主義のタイムトラベルSFにSF大好きっ子の自分は両手でガッツポーズですよ。タイムトラベルした先が(ネタバレになるのでぼやかすと)数年前という微妙な過去っぷり、それならばっさーの若い頃の役を用意しなくてもばっさー自身が演じればよいわけでなんという効率のよさ。このほんのちょっと過去に遡るタイムトラベル物は今後流行ってほしいです。タイムトラベルの仕組みはドラえもんも真っ青の都合よさですが、江ノ電のトンネルを抜けたら過去に戻っていたという設定だけで他はどうでもよくなってきます。現在の主人公の気持ちがあまり描かれておらず、過去にタイムトラベルできるようになったから、そこから過去を変えようと奔走するように見えたので、手段が目的を生む流れにもやもやを感じましたが、よくありますよねでここは済ませます。
 途中までまったく未来穂香さんが出てこなくて、これは端役なのではと危惧しましたが、思った矢先に登場、キーパーソンとして映画に静かな印象を与えていました。映画の雰囲気と未来穂香さん演ずる今日子がとても合っていて、もしかしてこれは図書室の蔵書をすべて2回以上読んだ今日子の妄想なのではと思いたくなるほどでした。映画のジャンルとしてはSF、根底に流れているのは劇中でも出てきたSF作家ジャック・フィニィです。これだけでわかる人にはわかる、想像するイメージそのまんまの映画です。タイムトラベル物は厳密さを求められがちですが、そこはそれ、ジュブナイルってことで逃げてて、上手いなあと思いました。細かいことは突っ込まず、もう雰囲気よ。江ノ電から江ノ島の夕陽を眺めるように綺麗だなーって思いながら見ればいいんです。
 で、肝心の上映後舞台挨拶なんですが、いきなり劇中にも登場するオカルト研究会、要するに未開の原住民族のダンスで場の空気が程よく冷えたところで未来穂香さん登場。パールピンクで統一されたドレス、ネイル、トゥシューズ、一目でがっつり気合い入ってるなと思わせて、しかし上品にまとまっている装いで、ちょっと麗しすぎるなと、席から立ち上がれなくなりました。立っちゃいけないんですけど。結構たくさん話してくれて、役の難しかったところとか、実は撮影で江ノ島行ってないとか、いろいろ聞けてよかったです。
 しかし、この日の事件は最後に起きました。舞台挨拶も終わって帰ろうとロビーに出たところ、ロビーに舞台挨拶の登壇者がいたのです。もちろん未来穂香さんもー。心臓止まったー。間近で見る未来穂香さんは華やかで本当にお綺麗でした。お見送りがあることを予想していなかったこともあり、あまりの現実感の無さに、ロビー抜けて階段降りて街に出てもふわふわした足取りで、その感覚はその後も一日中続いてました。単純にただお見送りで握手したというより、大きなスクリーンに映っていた美少女が、舞台挨拶ではステージ上で感想を述べる美少女となり、最後には僕だけに声を掛けてくれた瞳の大きな美少女として目の前に現れて、その非現実なまでの美少女が現実に押し寄せてくる迫力に圧倒されました。
 『江ノ島プリズム』はいい意味で裏切られた映画でした。決してハッピーエンドではないけれど、悲しさも思うそばからセピア色に色褪せるようなノスタルジーに満ちています。唯一気になったのは夏公開なのに何故に冬の話なのか、そこだけです。まあね、なんとなくタイミングで冬になっちゃったんだろうね。ただし、僕にとっては映画の体験よりも、未来穂香さんの存在感にすべてを持っていかれました。美しかった。