ヱヴァンゲリオン新劇場版「破」

 日曜に池袋で見ました。大人気だと言ってるけど結局キモいオタクばっかりなんだろうと思ってたら、両隣とも女性でした(しかも美人)。女性が一人で見てもいい映画になったんだと感慨深い気持ちでいっぱい。この一週間ネタばれを避けて生きてきて、始まる前は期待というよりも緊張しまくりでした。以降ネタばれありです。
 で、見たんですが、とにかくすごかった。いやあ、すごかった。すごすぎた。映画が終わったときの場内のざわつきや、すごいものを見たという思いが、言葉でうまく表現できないからすごい言うしかない。「序」を見たときは十数年ぶりにエヴァを見て、とっくに心の奥底に深くしまい込んだはずなのに、やっぱり自分はエヴァが好きだということを再確認できてそれがとてもうれしかったんだけど、この「破」はTVシリーズとは明らかに違う。まったく別物というわけでもなく、微妙に違うから、嫌いとも言い切れないし、でもとてもモヤモヤする。すごいんですよ。空から落下してくるサハクイエルを3体のエヴァで受け止めるシーンなんてTVシリーズとは比較にならないぐらいめちゃくちゃかっこいいし、弐号機のビースト状態もやばい狂ってるし、零号機を食っちゃうゼルエルとかもう…。で、ここで重く認識させられるのはTVシリーズとは微妙だけど明らかに違うということです。TVシリーズで何話もかけて最終的に「男の戦い」で見せてくれたあの感動を、たった一瞬で、まるで決められたストーリーの一部を消化するように見せられると、ちょっとがっかりしてしまうわけです。あのシンジが電源の切れた初号機を必死で動かそうとする、そこに至るすべてがサラッと流されてしまって悲しいんです。あと、マリが新登場した意味がまったくわかりませんでした。必要だったのか? アスカの代わり? 全体的に登場人物全員に人間味が出てるのがいいんだか悪いんだか。手料理作るレイとアスカに、加持とシンジの絡みとか、どこにサービスしてるんですか。最後のシーン(シンジとレイの)なんて、ハリウッドも真っ青の奇跡ですよ。手に汗握るとはこのことかと。すごい。すごいよ。ただ、1回見れば十分かなと思っちゃったのは確かで、「序」のときはすぐにでももう1回見たいと思わせたものが「破」にはなかった。僕には感じ取れなかったです。以下ですごく共感できることが書かれてるんだけど、

ひとつだけ確かに言えることは、かつて自分を重ね合わせたシンジはもういないということ。
http://d.hatena.ne.jp/kagakaoru/20090705/1246763529

確かに。あの明るいシンジは、自分のこれまで心の中にいたシンジとまったくの別人だった。これはこれでいいのかもしれないし、映画としてめちゃくちゃ面白いし、絶対に続編も見に行きます。だけど、これは、僕の好きだった、思い出すのも嫌な、だから見返すこともまったくしたことのないエヴァではなかった。それだけです。とにかくすごいんで絶対に見たほうがいいです!!