ハコイリ♡ムスメ『Season in the BOX~ムスメたちが駆け抜けた季節~』@AKIBAカルチャーズ劇場(20160223)

 私が好きなのはあの秋だったんだ…、とため息つきながら季節が甦ってくる最高のリバイバル公演だった。


 阿部かれんさんは残念ながらインフルエンザでお休みだったが、彼女がいないことでより当時の再演に近い感じになり、純度の高い公演となっていた。阿部ちゃんごめんねー。でも本当にあの秋冬のハコムスを見ているようで、もしここに門前亜里さんがいればと何度思ったことか。過去に囚われている、もっと言えば門前さんのことを今でも引きずっている私はどうなのだろうと思うけど、しかしこうやってあの当時を振り返る公演を見せられると思い出に揺り動かされてしまうわけです。本当に素晴らしい季節だった。

  1. なぜ?
  2. ホワイトラビットからのメッセージ
  3. Be My Diamond!
  4. 日曜はダメよ
  5. 星座占いで瞳を閉じて
  6. パジャマでドライブ
  7. 真赤な自転車
  8. Snow celebration


 どの曲も良かったのだけど、中でもユニット曲の3曲が特に素晴らしかった。ユニット曲はあまり歌われる機会も少なく、2014秋冬にしか歌ってないようなものなので、特別にあの頃の空気が濃縮されているような気がした。私もこの3曲が大好きで、だからここで聴けることが本当にうれしい。『日曜はダメよ』は、先日のミハマニューポートリゾートで歌われたといっても、その前に歌ったのは遠い昔なのでやはり久しぶりの感覚が強い。この曲での珠希さんの優しい歌声が大好きなんだ。握手会で珠希さんに歌声が好きと毎回言っていたな。間奏での鉄戸美桜さんのバレエのジャンプは、あの頃見ていたときよりも高く大きく跳躍しているように見えて、その鳥のような羽ばたきに連れられて私の心の弾んだ。


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 『星座占いで瞳を閉じて』は、これこそ最後に歌ったのがいつだったか思い出せないくらいの、本当に久しぶりの曲。一昨年は神岡実希さんのほうが背が高かったのに、今ではぽにょが神岡さんの背を追い越して、その成長に時の流れを感じる。間奏でじゃれ合う2人の声がマイクを通さないで聞こえてくることが懐かしく、胸いっぱいになる。


 そして『パジャマでドライブ』。イントロの静けさが私を一瞬で過去へ連れ去る。この曲と共に演じられた劇団ハコムスで毎回門前亜里さんの瞳が濡れていたことを思い出す。失恋した少女と街が動き出す前の朝の静けさは、門前さんがいたからこそ作れた空気なのかなと思っていたけれど、門前さんの代わりに鉄戸さんが入った今の3人でも当時と変わらない空気を作り上げていた。しんとした会場に響く菅沼もにかさんの声。あの頃よりも経験を積んで成長した3人の、絹織りのように美しく重なっていく歌声が私の心を包み込む。少しの身動きも憚られるような、心の微かな揺れ動きさえも伝わってくる繊細な時間。その静謐な雰囲気に身を委ねるのが大好きだったんだ。それが再演されて本当にうれしい。


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 私にとって2014年秋はハコムスを好きになった大切な季節であることを改めて思い出させてくれた公演だった。いろいろ思い出したよ。『のび太の結婚前夜』も再演してほしかったな(笑)。あのときの鉄戸さんに感動して、だから今があるんだ。そして隔週毎に過去の情景を巡るリバイバル公演は、時を遡るにつれて門前亜里さんの存在の重みを実感する。あぁ、やっぱり自分は門前さんが好きなんだと、彼女の優しさに甘えていた頃の穏やかで美しいステージと、今の笑顔が絶えないステージの景色が交差して、記憶が鮮やかに編み込まれていく。今も昔も本当に良い時間だった。ありがとう。