ロロ『校舎、ナイトクルージング』

本作は「いつだって可笑しいほど誰もが誰か愛し愛されて第三高等学校」が舞台の連作群像劇です。
教室、下駄箱、屋上、図書室、学内のあらゆる場所で「まなざし」をテーマに様々な物語を発表します。
俳優はシリーズを通して同じ登場人物を演じ、作品ごとに主人公が代わります。
学内で起こる小さな事件の”ここ”と”あそこ”がまなざしで繋がれてゆき、シリーズ全体で大きな物語となっていく様をぜひお楽しみください。


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 ネタバレてます。


 いつ高シリーズという高校を舞台にした青春群像劇。その2作目。やばいくらい面白い。校舎、夜の教室、目を閉じれば昼休み。さりげなくもドラマチックで、すべてが愛おしい。


 引きこもりで深夜ラジオオタク(JUNK)の女子が教室の至るところに盗聴器を仕掛け、それを自分しかいない部屋で聞きながら教室のざわめきを再現する。そんな悲しく暗いおとぎ話にもドン引きしないで、むしろ積極的に関わっていこうとする主人公の将門(ANN派)がいい奴すぎて泣けた。将門の限りない優しさ。偶然でもこういう優しさに触れることが出来たなら人生が変わるのではないか、変わるほどではなくても明日が明るくなるのではないか、そう思わせる希望がある。将門の全方位的にいい奴な感じが青春を殺風景なものでなく、温かくもノスタルジックな物語に仕立て上げているのが素晴らしかった。


 若い人にはネタが古いらしいが、私にはどんぴしゃりだったよ。最後には泣きそうにまでなった。最高としか言えないのが思考停止っぽいけど、最高でした。