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劇団ハーベスト冬の特別公演『季節はずれの収穫祭~Are you ready for New Year’s Eve?~』

脚本:劇団ハーベスト 脚本監修:益永あずみ
演出:劇団ハーベスト 演出協力:中村公平
出演:劇団ハーベスト山本萌花高橋紗良広瀬咲楽布施日花梨松永ミチル望月瑠菜川畑光瑠・弓木菜生・久保田紗友宮武佳央

昨年に続き、脚本・演出を劇団ハーベストメンバーが自ら手掛けるというチャレンジの特別公演、それが『季節はずれの収穫祭』!
今回は年末のカラオケボックスで巻き起こる3つのストーリーをオムニバスでお届けします!
Aコース、Bコースの各3話ずつで合計6話をお楽しみください!
(A、Bコースともに上記メンバー10名が全員出演します!)

http://her-best.net/event.html

Aコース

「オカルト研究部」 脚本:広瀬咲楽、益永あずみ 演出:山本萌花

 カラオケボックスにて幽霊と一緒に「ハッピーニュー嫌ーーー」と叫んで心霊写真を撮ろうとするオカルト研究部、通称オカ研のお話。幽霊を見れないくせに先輩風を吹かしている久保田紗友さんと、その先輩をどうにかしてぎゃふんと言わせたい後輩の望月瑠菜さん宮武佳央さん、そして実際に呼び出されてしまった幽霊こと弓木菜生さん(くぼさゆには見えないが望月宮武には見える)、その三者のドタバタがとても面白い。可愛いというよりも美麗と言ったほうがよいような鋭く美しいくぼさゆがオカルトチックな行動をしているとTRICK仲間由紀恵を彷彿とさせます。そして、白装束に身を包んだ弓木さんの大阪漫才的なツッコミが最高。キレ気味に入れてくるツッコミが、こちらは鳥居みゆきを彷彿とさせます。弓木さん最高だった。

「うしろ髪のばし隊」 脚本:高橋紗良、益永あずみ 演出:高橋紗良

 「うしろ髪のばし隊」という崖っぷちアイドルグループがグループ存続をかけてインターネット生放送をカラオケボックスからするというもの。うしろ髪のばし隊のメンバーは、アクション女優を目指す自己中心的な山本萌花さん(赤)、おとぼけドジっ子キャラの川畑光瑠さん(黄)、中間管理職的にグループをまとめる広瀬咲楽さん(青)。結局グループは解散してしまうわけだけれど、解散が決定づけられた瞬間の川畑さんのキャラクターの豹変が恐ろしい。実はグループの緩衝材となっていたのはいつものんびりな川畑さんだったと。それまでのアニメっぽいロリロリな声から、一気に棘を含んだ声に変わるのがやばい。美樹本晴彦が描きそうな可愛いツインテール少女が氷点下の声を放つのだからやばい。チビる。しかし私はこの3人の中では広瀬さんにどうしても感情移入してしまう。グループとしての先はまったく見えないけれど、だからといって他の道へ一歩踏み出せずにぬるま湯に浸かっているような広瀬さんにどうしても気持ちが寄ってしまう。結構つらい。広瀬さんのためにも私は解散してよかったと思う。夢を持つのはいいけど、地下アイドルはやめたほうがいいですよ。山本さんはアイドル×山本萌花でのイメージ通りうざかった(最大の褒め言葉)。あとPCを倒すシーンの唐突さ最高でした。アイドルグループの裏をドライに描いていて、しかしなんというか、よくあるアイドルものね、と予想通りだなと感じてしまったのは申し訳ない。もう一捻り欲しかった。

「東京、最後の夜」 脚本:弓木菜生、益永あずみ 演出:弓木菜生

 東京を離れて故郷京都へ帰る高橋紗良さん、その送別会に集まったのは布施日花梨さんだけ。舞台となるカラオケボックスでバイトしていて、そのカラオケボックスで送別会を開いても誰も集まってくれない寂しさとそこからの一転して希望への出発を描いた作品を弓木菜生さんが脚本演出したというのが何よりも驚き。始まりからどんよりした空気で、脚本を書いた弓木さんの不思議な性格を思い出しながら、このお話はどうにもならないのではと不安になったのですが、同じバイト仲間でシンガーソングライターのZun Do Zun Doさんが登場した辺りからあまりにも不幸が突き抜けすぎて一気に笑いへと爆発していったのが最高でした。そしてZun Do Zun Doさん歌上手すぎた。あんな上手に不幸な歌を歌われたら泣かざるをえない。いや、笑わざるをえない。

Bコース

「私たちはとっても仲がいい」 脚本:久保田紗友、益永あずみ 演出:久保田紗友

 女子3人の恋愛話。布施日花梨さんのふんわりした育ちのよい女子大生っぽさが本当に良いなと思います。望月瑠菜さんは男をたらしこめる役が似合ってましたが、それは劇団内でもそういうイメージがあったりするのでしょうか。外部の仕事をたくさんやって自信が出てきたのか、最近の望月さんは安心して見てられますね。山本萌花さんを入れておけばとりあえず笑いは大丈夫みたいな雰囲気を最近は感じたりするのですが、公開稽古で見た演出の指示に対する山本さんの対応力が半端なかったので、それを常に間近で見ている他メンバーからしたらそりゃ頼りたくなりますよね。女子グループにありがちらしいお話をくぼさゆが書いたというのが意外というか新発見でした。女子同士の会話は微妙なニュアンスの違いで関係がぎくしゃくしがちですが、その辺りの台詞をストーリーを面白くするために丁寧に積み上げていたのが素晴らしかった。

「夏生先輩」 脚本:宮武佳央、益永あずみ 演出:松永ミチル

 ヤンキーの宮武佳央さんにピンチを助けてもらった3人組が、宮武さんに自分達もヤンキーになりたいと願い出るが宮武さんの本当の目的は…。もう、ちびっ子3人組の広瀬高橋弓木が瞳が純朴でキラキラすぎた…。あと眼鏡広瀬さんの文学少女可愛い。このお話の高橋さんは鉄道オタクで、去年の『トレインマジック』もそうですが、高橋さんは鉄道ネタ多いですよね。

「ロック的迎春歌」 脚本:広瀬咲楽、益永あずみ 演出:広瀬咲楽

 最高。川畑光瑠さん最高。最高にぶっ飛んだ役を最高にぶっ飛んだ川畑さんが演じていました。X JAPANYOSHIKIに憧れてYOSHIKIと名乗るドラマーを演じる川畑さんが自己陶酔を極めまくっていて最高。しかし川畑さんのテンションの高さよりも、私は久保田紗友さんの笑いの間にとにかく感心してしまいました。口数少ない役なのに、的確に笑いを取っていくくぼさゆが素晴らしかった。一瞬のタイミングを間違えばスベってしまいそうなところを、綱渡りのように全部笑いに変えていくところがとにかくすごい。ひとつだけわかりづらかったのが、くぼさゆはバンドメンバーなのか、YOSHIKIと一夜を共にしたいだけの女なのか、そこがよくわからなかった。川畑さんの暴走するボケ、松永さんの冷静なツッコミ、そしてくぼさゆの不思議キャラのバランスが絶妙で、本当に上手いコントを見ているようでした。そう、演劇よりもコントでしたね。


 どの作品にも言えることですが、とにかく会話のテンポが良い。20分という短い尺の作品だからなのか、ダレる場面がまったくなく、会話の応酬でぐいぐいとストーリーがドライブしていって、それが本当に心地良い。それぞれのお話はバラバラだけど、ひとつのカラオケボックスを舞台にすることで統一感が出て、話はバラエティに富んでいるのに6作品がひとつの大きな作品として有機的な繋がりを感じさせます。全部面白かった。劇団ハーベストの舞台を観ると、演劇って楽しいんだなということを毎回思わされます。毎回笑顔で帰れるというのが本当にすごい。最高に面白い舞台をありがとうございました。