ハコイリ♡ムスメ『DX劇団ハコムス ~君の歌、僕の歌~』@AKIBAカルチャーズ劇場(20151027)

 このブログの検索ワードトップが「のっち 太もも」だったのも数年前。もうPerfumeオタクでもないので、Perfumeのようにネタバレ禁止の相互監視コミュニティーに怯えることもなく、ネタバレも何もどんとこいの精神で以下の感想を書きます。


 前置きは前に置いておいて、女優志望のアイドルグループであるハコイリ♡ムスメがお芝居のみで勝負する約1時間の公演、それがDX劇団ハコムスです。隔週火曜日、12月までの計6回公演。今回はその2回目でした。前回は過去の劇団ハコムスの総集編でしたが、今回からはこのDX劇団ハコムスのためのオリジナル脚本となり、ハコムスの皆さんが女優としてどんな姿を見せてくれるのか本当に楽しみ。開演前には演劇ではお馴染みの注意事項アナウンスがあり、それはぽにょが担当していましたね。普段はライブばかりのカルチャーズ劇場での演劇っぽい雰囲気作り、嫌いじゃないです。


 以下、本当にネタバレしています。普通の演劇のような連続した期間の公演ならば、千秋楽が終わるまで待つものですが、このDX劇団ハコムス、次の公演が2週間後…。同じ演目の最終公演は4週間後と、結構先となります。そこまでネタバレ禁止耐えられないよ、というわけでネタバレしつつの感想です。


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 まず始まってびっくりしたのが、ちゃんとOPの自己紹介映像があったこと。それぞれのメンバーの役柄がひとりずつ紹介されます。お客に優しい…。このとき菅沼もにかさんの役が天然少女と紹介されていて、それによって自分がミスリードされてしまったのが後々良い意味で裏切られることに。


 物語は三姉妹を中心に話が進みます。長女小松もか、次女内山珠希、三女ぽにょ。小松さんが長女役とか、普段のハコムスでのおっとりとした、争いがあっても時の流れに解決を任すような傍観者的なイメージからは想像出来ないのですが、実際ハコムスでは最年長ですものね。対して次女と三女は元気いっぱい、次女の珠希さんは反抗期最前線です。この三姉妹の両親は既に離婚し、母と一緒に暮らしていたらしいのですが、母も亡くなってしまい遠くの父からの養育費で暮らしていて、さらにその父が亡くなったところから物語はスタート。女の子7人だけのお芝居だから仕方ないとはいえ、両親不在とは厳しい家庭です。そこに小松さんの学校の友人である鉄戸美桜さんや阿部かれんさん、秘密を抱えたまま三姉妹の家に転がり込んできた菅沼もにかさんや神岡実希さんを巻き込んでの、大きくまとめれば家族のお話。そこに題である『君の歌、僕の歌』が重なってきます。


 そんなDX劇団ハコムスですが、小松もかさんの女優としての素晴らしさを余すところなく見ることの出来る舞台でした。さすが小松さん。定期公演でのフィーチャーっぷりもそうですが、この秋は小松さんの秋ですね。そのことを握手会において秋の主演女優ですね、と褒めたら、いえいえまだまだもっといけるもっと上を目指せると、謙遜しつつもこれまでの握手会では見せることのなかった謎の向上心を前のめり気味に言ってきて、お、おう、とこちらもびっくりしてしまって、でも小松さんのそのやる気が頼もしいです。


 アイドルという前に女優なんだなと改めて実感させられたDX劇団ハコムスでした。小松さんに限らず全員良かった。おそらくこういうお芝居は初めてであろう阿部かれんさんも良い味を出してました。阿部ちゃんの役はひとりで笑いを生み出さなければならない難しい役だけど頑張ってましたよ。鉄戸美桜さんは泣かない演技はどうでしたかー、と握手会で聞いてきたけど、うん、正直『AKIRA』での演技がすごすぎて、まだ自分はその印象を引きずっているので、それに比べたら脇役に徹していたかなという感じ。珠希さんとの2人だけの場面では、珠希さんの告白をうまく引き立てていたと思います。鉄戸さんが本気120%を出しきってしまうと、完全に場の空気を一変させて話の流れを途切れさせてしまう恐れもあるので、鉄戸さんの使い方って難しいね。ストーリーがいちばんエモーショナルになる頂点で感情爆発させるような役に出会えれば、鉄戸さんにぴったりだと思いますが。


 ハコムスでは歌の上手さに目が行きがちな珠希さんですが、さすが長い間事務所に所属してレッスンを受けてきただけあって演技もすごく良かった。泣けば万事オーケーみたいに感じてしまう自分の性格の悪さには辟易してしまいますが、珠希さんの素直になれない告白は今回のストーリーのひとつのクライマックスでした。ぽにょは忍者の場面の笑いも良いけど、父への想いを告白する場面が僕は好き。ぽにょの話し方のせいか、あそこが今回の中でいちばん演劇的に感じました。


 最初のOPで天然少女と紹介されていたので、てっきり菅沼もにかさんは道化役かなと思ってましたが、実は重要人物ということで、もにちゃんにはその思い込みを裏切られた爽快さがありました。私服っぽい衣装は全部本人達の本物の私服ということで、もにちゃんは福岡からやって来た女の子役なのでちょっと野暮ったい感じで選んだと言っていましたが、いやいやもにちゃんの可愛さはそれでも十分伝わってきたよ。もにちゃんのお下げ可愛かった…。逆に神岡実希さんはおまけで付けられたような役でしたね…泣。あまり主役的な見せ場も無かったのが残念。でもこの作品を最後に一旦休業するということで、ここからどうやって神岡さん的に盛り上がっていくのか楽しみです。


 お芝居の最後には2曲ライブがありました。公演タイトルの『君の歌、僕の歌』と先日初披露したばかりの『少女時代』。劇と空気が繋がって静かに歌われるから、定期公演以上の心地良さに癒されます。隣に寄り添うような優しい歌声です。そんなハコムスの歌声が大好き。最近は以前にもまして神岡さんの歌が好きになってきてます。秋の少女の憂いを感じさせる神岡さんが素敵です。


 ハコムスにとって初めての試みということで、今回の反省を元に次回はもっとブラッシュアップしていくのだろうと思いますが、ひとつだけ不満を書かせてください…。転換が多すぎます…。場面が頻繁に変わるのはいいけど、その転換のテンポがよくないので観ている気持ちが途切れがちになります。演劇のための会場ではないため、ステージが完全に真っ暗にならないのは仕方ない。でももう少しテンポよく話が進まないかなーと思います。あと些細ですが、鉄戸さんが怪我をしたところから、お見舞いの場面もなく一気に話が飛んでびっくりしたり、珠希さんの反抗期の理由もありきたりだなーと思ったり、保険金のくだりとかいろいろ腑に落ちない点がありますが、正直なところよく1時間弱で話をまとめ上げたなと感心してます(どこから目線?)。女の子7人のみの物語で、人物構成としては偏っているので話が拡散してしまってもおかしくないのに、最後きちんと締められていて、それはすごいと思いました。


 何よりも小松もかさんが三姉妹の長女という立場から、いない母親の代わりとして精一杯背伸びして頑張っていたという一点のみで何か許せてしまうものがあります。いや、演劇的にこういう見方はよくないのだろうけど、日頃から生活感の薄い小松さんがあの役を演じるからこそのひたむきさ、みたいなのが勝手な思い込みなのだけれど伝わってくるようで、それが作品を強いものにしていると感じました。この秋は本当に小松さんの秋です。


 これまでの定期公演での劇団ハコムスはマイクありでの演技だったので、マイク無しでの劇団ハコムスを心待ちにしていました。それをこうやって実現してくれて、ハコムスの皆さんの演技を観られることがとてもうれしい。ここから次がどうなっていくのか。次回以降も楽しみにしておりますよ?