ハコイリ♡ムスメ『ハコイリ♡ムスメの定期便10月号 ~ロマンスを待ちながら~』@AKIBAカルチャーズ劇場(20151017)

 ハコムス大好きなんです。だけで伝わればいい話なんですが、そこまで世の中わかりやすいふうにできていないので結局文字を捏ねくりまわすのです。よって今回も無駄に長文。

  1. ロマンスは偶然のしわざ / 新田恵利
  2. ゆっくりと好き / ribbon
  3. 深呼吸して / 渡辺満里奈 with おニャン子クラブ
  4. テンダー・レイン / 高井麻巳子
  5. 落ち葉のクレッシェンド / 河合その子
  6. さよならのプリエール / ハコイリ♡ムスメ
  7. 少女時代 / 斉藤由貴
  8. Moonlight Express / CoCo


 ハコムスで秋が始まりました。季節はいつもハコムスと共にやって来ます。ハコイリ♡ムスメは女優志望の女の子7人からなるアイドルグループ。80年代90年代のアイドルの名曲をカバーし、癒しと安らぎを届けてくれます。季節感を大事に、春ならば春らしく、夏ならば夏らしい、季節に寄り添ったステージをいつも見せてくれるハコムス。そんなハコムスが2度目の秋を迎えました。


 そう、季節は巡ります。去年の10月、そのときの定期公演を見て僕はハコムスにハマりました。優しさに満ちた秋の曲目と、鉄戸美桜さんによるしずかちゃんパパの演技、これらによってハコムスにのめり込み、そして1年が経ちました。今年はどんなハコムスが見れるのだろうと、期待して定期公演を待っていたら、一足お先に新衣装だけインターネットで公開されてしまいました。おいー(笑)。新衣装お披露目の楽しみも含めての定期公演でしょー。ちょっと肩透かし受けちゃいましたよ。


 その秋のハコムス新衣装はシックな花柄模様のワンピースでした。赤系と青系と、グレーというか黄色というか、とにかく彩度の低い花柄ワンピースが3色パターン。パッと見、ローラアシュレイっぽさがあります。ネットで写真だけ見たときは、あの手の花柄はメルヘンおばさん御用達な印象があって、年齢よりも老けて見えるんじゃないかなとちょっと心配に…。


 そんな不安を胸にしたまま迎えた公演でしたが、登場したハコムスの皆さんを見て杞憂に終わりました。落ち着いた花柄でも彼女達のフレッシュさは失われていませんでしたね。むしろ衣装の雰囲気を抑えたことによって、彼女達本人が持つ若さでしか出し得ない美しさがより強調されてたように思います。


 今回も、秋のためにOP映像が一新されました。洋館で撮影された、静かに佇むお人形のようなハコムスの皆さん。落ち葉を踏む音が聞こえてきそうです。物思いにふけるような表情が多い中で、最後に紹介されたのが小松もかさんで、本当に心が無い人形のような瞳にハッとさせられました。テーブルの向こう側に座って感情が一切無いかのような小松さんが超やばい。まるで心に何か傷でも負ってしまったかのようで、裏の物語でもあるのかと勘繰ってしまいます。


 始まりの2曲はあまり記憶がありません。あぁ、秋だな、優しさがハコムスに戻ってきたなという安心感に満たされました。夏のハコムスに優しさがなかったかというとそんなことはなく、夏も優しさに溢れていたのですが、秋は秋でこちらの心に寄り添うような、同じ空気の温度を分かち合うような親密さがあったように思われます。その中でもぽにょのテンションは無駄に高かったですね。いつもうれしそうな笑顔のぽにょを見てるとこちらもウキウキしてきます。毎回衣装を新しくすると菅沼もにかさんが何かやらかすのは恒例行事となっていますが、今回も1曲目でかぶっていたベレー帽が外れてしまって間抜けな感じになってました。曲間でそれを直そうとしてもひとりでは出来ずに手伝ってもらおうとするもにちゃん可愛いよ。


 自己紹介後はユニット曲を3曲連続。1曲目『深呼吸して』は小松もかさんがずっとセンターで歌う、小松さんのための曲でした。これまで、小松さんは表情とかダンスとかは良いなーと思っても歌の印象がいまひとつ薄かったのですが、この曲でなんとなく小松さんの歌の良さがわかったような気がします。小松さんの歌は、こちらの感情に何か起伏を起こさせるというのでもなく、静かに沁み込んでくるようで、それは耳を澄ましてなければ聴き逃してしまいそうな儚い美しさがあるように思います。内山珠希さんとぽにょは後ろでずっとコーラスで、MCでそれを愚痴ってるのが本音なのかネタなのかわからず、でも珠希さんもぽにょもセンターで歌いたい意欲が強い2人なので、今後この3人がどうなるのかなーという面白さがあります。しかし秋のしっとりとした雰囲気において、小松さんの心情の揺れのなだらかな歌声は静かな海に打ち寄せる波のように優しく響いてきて、それがとても心地良いです。『なぜ?』で激情に溺れながら歌う小松さんとはまた違う良さがありました。


 続いては鉄戸美桜阿部かれんによる『テンダー・レイン』。良かった…。本当に良かった…。鉄戸さん贔屓を差し引いても、この2人の歌が良かった。夏の『ストローハットの夏想い』で素晴らしい歌を披露してくれた鉄戸さんが、この秋においても素晴らしい世界を見せてくれました。それから阿部ちゃんの歌も、もう後から入ってきたとは言わせないような良さに溢れていて、その2人のハーモニーが素晴らしかったです。


 ユニット曲最後は菅沼もにか神岡実希の『落ち葉のクレッシェンド』。最初ステージにはもにちゃんひとりだけが立ち、ソロで始まります。もにちゃんの丸っこく可愛らしい歌が静かに響き、そこに神岡さんが加わってきます。この曲はもにちゃんが引っ張っていって、もにちゃんの歌が良かったなあ。


 そしてユニット曲からの満を持してのオリジナル曲披露でした。曲名は『さよならのプリエール』。小松さん曰く、プリエールとはフランス語で祈りという意味らしく、曲中の祈りのポーズにも注目してくださいとのこと。もかちゃんよく知ってるねともにちゃんに突っ込まれていましたが、マネージャーの受け売りだそうです。ですよねー。フランス語もそうですが、今回の秋のコンセプトは「西洋」とのことで、花柄衣装といい洋館といい、西洋っぽさが随所に見受けられます。ただ本人達もいまいち西洋がどんなのかわかってないっぽいですね(笑)。


 その新曲ですが、これも小松もかさんセンターでした。完全にこの秋は小松さんの秋ということです。祈りから始まる『さよならのプリエール』はこの日の定期公演すべての曲の中でいちばんゆったりとした曲で、丁寧に繊細に曲を紡ぎ上げていきます。ハモりもとても良かった。ステージの空気は静謐で、悲しみから立ち直るように祈りを捧げる7人が静かに美しいです。間奏では鉄戸さんと阿部ちゃんのバレエが挟まれて、優しく落ち葉を巻き上げます。


 最後の2曲の前に神岡実希さんから発表があり、受験のため11月の公演を最後にハコムスの活動を一旦お休みするとのこと。残念だけど仕方ない。去年は鉄戸さんがお休みしてましたしね。というか、同じ中3のもにちゃんとぽにょは、冬にかけてハコムスは忙しくなるはずで、受験は大丈夫なのだろうか。


 公演最後は『少女時代』『Moonlight Express』と、希望を感じさせる流れで終了。『さよならのプリエール』から含めて、この3曲の流れが素晴らしかったです。ハコムス好きだなという気持ちをグッと強くさせます。それぞれのパート、それぞれの歌がとても強く響き、今のハコムスの魅力が十二分に感じられるひと時でした。特に『Moonlight Express』でひとりずつ歌い継いでいくところがとってもかっこよくて、初めて聴いたのにちょっとウルウルしてしまいました。しかも神岡さんの発表を聞いた直後で、かなり重大な発表だというのにさらっと些事であるかのように言ってのけた神岡さんのことを思いながら『Moonlight Express』での神岡さんの歌を聴くと、曲の世界を飛び越えて神岡さんの想いが届いてくるようで、それは感情を持っていかれてしまうのも当然というものです。


 これまではQlairアイドリング!!!の曲で、知っている曲はありましたが、今回のセットリストは本当に全部知らない曲でした。人によっては全部知ってて懐かしすぎる選曲だろうけど、僕にとってはどれも新鮮な気持ちで歌が届いてきます。だけど新鮮で知らないはずなのに、何故かノスタルジーを感じさせます。オリジナルを知らないからこそかもしれないけれど、どれもハコムスにとても似合っていました。古き良きアイドルを目指すグループとして、コンセプトを忠実に守るハコムスの姿勢は好きです。


 新しい秋のハコムスは、これまでのハコムスの中でもいちばん静寂を傍らに呼び寄せていて、それは秋の空気にとても相応しいと思います。まるで静かな夜に少女の日記を盗み読んでいるようです。それは秘密にしておかなければならず、殊更に声を上げて喧伝するものではない。というわけで、ひっそりと雰囲気に浸っていたいので、公演終わりには銀杏並木でもぶらり散歩したい気分です。そんな感じなので、公演を終わったらしっとり落ち着いてしまって、握手会でテンションを上げるのに苦労しました(笑)。いつもですが握手会ではみんな優しい(泣)。迷ったけどチェキは阿部かれんさんと撮りましたよ。季節が変わらぬうちに、この衣装で全員とチェキを撮れるかな?


 素晴らしい秋の始まりでした。公演中に鉄戸さんは何度もこれからもパワーアップしていきたいと言い、パワーアップを強調してて笑っちゃいましたが、まだまだもっときらめくハコムスがこれからの季節で観れるかと思うと楽しみが尽きません。これからどう秋が深まっていくのでしょうか。素敵な10月をありがとうございました。