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アイドル甲子園シアター旗揚げ公演『AKIRA』@新宿シアターモリエール(20150929〜20151004)

idolkoushien.com


 Aチームのみの感想です。特攻野郎なのでBは知らない。

登場人物

  • 城咲いずみ - 君島光輝

東京英和という女子大の学生。父親が天下り官僚。AKIRAと結婚を前提にお付き合い。

  • 鈴本美鈴 - 鉄戸美桜

震災で失語症になったところを精神科医のAKIRAによって回復、そのAKIRAを追いかけて上京。部屋の合鍵ももらい、本人は付き合ってると思ってる。

  • 山本麗乃 - 尾崎優子

元AV女優。リストカットしたり死にそうになってたところを精神科医のAKIRAに救われて、その後付き合うように。

キャバ嬢。

  • 江口茉由 - 小俣里奈

いずみの高校と大学の親友。聞き上手でAKIRAの相談にいろいろのる。

  • 真 - 清水裕美

AKIRAの妹。AKIRAとは母親が違う。ブラコン。


AKIRAというひとりの男を巡る物語。妹の真以外は全員AKIRAと付き合ってる。そんな女6人が何故かAKIRAの部屋に集まってしまって起こる悲劇。


(Twitterと自分の記憶がソースなので、もしかしたら間違ってるかも。台本買ってません……)

舞台の感想

 ひとつの公演の流れとして、約1時間半の劇があってその後に公開ダメ出し(プレミアム席以外は別途2,000円かかる)、最後に握手会(物販2,000円で握手券1枚)。公開ダメ出しはスパルタ演技指導で有名な演出家が厳しいダメ出しをするとのことで、ちょっと怖そうだなと思ってたが、自分が見た公開ダメ出しはそれほどきついあたりではなかったのでホッとした。でも自分が観てないBチームは酷かった模様…。


自分は自由席2回、指定席1回、プレミアム席1回と計4回、すべてAチームを観劇。以下、ネタバレありの感想の羅列。台本が無いので順不同申し訳ない。

  • 1万円を出しての豪華特典付きのプレミアム席(桟敷席)が、最前列とはいうものの座布団だし(この点に関しては桟敷席の名に偽りはまったくない)、ステージが高めなのでずっと見上げながらの観劇は姿勢的にかなり厳しい。近ければよいというものではないけど、近くでなければ見れないものもあったのは確か(オタクちょろい)。

  • 舞台セットが無駄に豪華。さすがアイドル甲子園。supported by 生メール。みんなの課金が豪華舞台セットに。
  • 開演前のBGMはきゃりーぱみゅぱみゅとかcoltemonikhaとか、つまり中田ヤスタカ。選曲にどんな意味が??
  • 冒頭、美鈴が部屋に散らかった服を片付けるのだが、しっかり服を抱えて歩けるのか毎回ヒヤヒヤ観てた。千秋楽はちょっと無理っぽくて一旦休憩してて、それを公開ダメ出しで笑いを取りにいったと演出家に突っ込まれてたけど。偶然にしろ自分で笑いを作れたのはよかったと思う。
  • 美鈴が服を片付ける最後に最前列(プレミアム席)のお客に落ちてる帽子を取らせて自分の頭にかぶらせる、その後に手伝ってくれた客に推しを聞くのだけど、推しが他の演者だと素っ気ない捨て台詞を吐くのがわかっていても面白い。
  • 客がいるってわかってるのね。そういうことね。
  • ソファで美鈴がスマホをいじっているのだが、以前に自撮り上げてたときも同じスマホだし、あれは鉄戸さん本人のスマホなのか??
  • 麗乃登場時にギャグかましながら大仰な動きをするのだけど、そのときにプレミアム席のお客に目を合わせてくるのよね。これがレスか…!! 演劇観に行ってレスもらえるとは思わなかった。さすがアイドル甲子園シアター。といっても演劇にレスはまったく求めてないが。でもにらめっこみたいに麗乃がこっちをニッと見つめてくると笑わざるをえない。くやしい。
  • どんどん部屋の女が増えていく流れはわかっていてもウキウキする。
  • 天津飯に心ときめかせる美鈴が超可愛い。
  • AKIRAの妹である真が登場。ゆみず氏の制服女子高生。圧勝です。真の胸の自由の女神のように心の中で拳を高く突き上げた。
  • いずみが別の部屋に出ていったときに、真が怒り気味に拳を握ってプルプルさせてたのが強く印象に残ってる。
  • 真の手の骨骨しい感じが結構好き。
  • (どういう流れだかは忘れたけど)凹んだ美鈴がぐでたまと自分の顔を並べて、ぐでたまとそっくりな顔になるのだか、その美鈴のぐでたま顔が超可愛い。次のチェキはぐでたま顔でお願いしたい。
  • 茉由が部屋に入ってくるときにドアの音がしないのは何故だろう。というか、一緒に観た友人が言ってたけど、玄関入ったときに靴で他に女がいることわかるのでは??
  • 話の流れがわかってない茉由をからかうような3人だが、自分達が演じていることも客がいることもわかっているのだね。やっぱりそういう演劇なのかー。
  • 毎度ダメ出しをくらってたいずみのカチンコは本当にタイミングが難しそう。演出家曰く深作欣二をイメージしてとのことだが、君島さんは深作欣二をわかってないっぽい。
  • 金田一の物真似(金田一と言われても元ネタがわからなかった…)をしてからのソファをピョンとジャンプして座る美鈴が可愛い(基本美鈴に対しては溺愛気味な感想)。
  • 美鈴以外はそれぞれ他の女の存在を薄々知っていたが全員がAKIRAと付き合っていたことまでは知らなかったということかな。
  • 茉由がAKIRAのいいところを挙げてって、麗乃愛華美鈴がうっとりしてる表情がとても好き。
  • 茉由にAKIRAが卵アレルギーであることを言われて、愛華美鈴が抱き合って嘆き、麗乃がソファでふんぞり返っているシーンが本作いちばんの大爆笑シーン。
  • 絶妙な抜き差しで部屋の人物が入れ替わるのでダレた感じを与えない。
  • なんで美鈴の「うるさーぃぃぃ」はフェードアウトする感じなんだろ。
  • 私は抱かれてないと声を張り上げる美鈴は、舞台のいちばん前方のギリギリに立って叫ぶのだが、プレミアム席だと真上すぎて顔がよく見えない。
  • 脚凝視するしかない。
  • プレミアム席は脚が見えすぎる。
  • 逆に愛華AKIRAとヤりまくってるらしいが、これはセフレって認識でいいのか??
  • そういうことを暗に匂わすためか、愛華は股を広げがち。
  • 麗乃のAV話。しんみりして、これは涙ほろりしちゃうのではと危惧した瞬間にいずみが話を遮るのがグッジョブだし、感情に流されないギリギリで話を進めるのが良い。
  • 個人的にこの舞台でいちばんグッときたシーンがいずみと茉由が2人だけで話すシーン。ここでの茉由が昂りそうな感情を必死に抑えて、努めて冷静であろうという話しっぷりが、手に汗握ったというかグッときた。
  • みんな小俣さんを好きになる気持ち、よくわかる。僕も好き。
  • 後半になってくるとそれぞれの見せ場の連続。
  • 美鈴が石巻という単語を発した瞬間、震災持ち出すのかよ安直ではと一瞬クラッときたけど、その後の空気の張り詰め方、いやーすごかった。
  • 女優、鉄戸美桜がそこにいた。
  • スポットライトに祝福されてた。
  • 美鈴の視線の先に石巻が確かに見えた。
  • 美鈴の独白の場面だけ別の演劇のようだった。
  • つまりすごすぎて浮いてた。
  • 心鷲掴み。すごい。
  • 感動シーンを遮るように嫌味たらたらで話す茉由もいずみに劣らず性格悪い。
  • 真が「そうです、私はブラコンです!」と叫ぶの、『わたしの星』のスピカを思い出して最初に聞いたときドキッとした。
  • AKIRAの母親といずみがうり二つという事実が暴露されたところから物語はシリアスモードへ。ここまではシリアスというかただ単に重いだけだったのが、ここから一気に緊迫感ある展開へ。
  • AKIRAの母親は解離性同一性障害(多重人格障害)、その母親の世話をしていくうちにAKIRAは精神科医を志そうと決心。これはわかる。AKIRAが母親の面影を部分的にだけど複数の女性に見出して、それぞれの母親的なる部分を愛することで結果的にたくさんの女性と関係を結んでしまう。このAKIRAの分裂した愛情と母親の解離性同一性障害に因果があるのか(あると仮定して書かれているのか)、あるともないとも断言できないのがもやもやする。でもこの朧げな恐怖感が結構好み。
  • AKIRAの母親の自殺の状況とAKIRAの自殺の状況が同じ。AKIRA解離性同一性障害なのか。解離性同一性障害は遺伝するのか調べてもよくわからなかった。
  • AKIRAの携帯のバイブ音は何故音の出るスピーカーを移動させてまで立体感出したかったんだろう。AKIRA死んでるから音も動かないのでは?
  • 後ろのほうの自由席で観てたときは気付かなかったけど、前方で観たら本当にAKIRAの死体(死体役の人間)があった。それだけで結構怖さ増す…。
  • AKIRAの死体発見で暗転してから次のシーンに移るまでのあいだ、演者は裏で変顔しまくって気持ちを切り替えてたそう。転換の時間が短いのに号泣から一気にテンションを平常に戻すのだからすごいわ。
  • 茉由の「かたしちゃおう」というのは関東の方言。
  • 最後の真の朗らかな返事。他の女と仲直りしたといっても兄が死んだ次の日にそこまで立ち直れるものなのだろうか。穿ちまクリマクリスティしちゃうと、5人(6人?)がAKIRAの母親の多重人格と重なって、それが原因で発狂したという見方もできてしまう。つまり5人は共犯ということ。AKIRAは異常なまでに相手に合わせる性格(多重人格の母親が原因)なので、もしかしたらタイミング悪く5股になっちゃって、それが母親をフラッシュバックさせたのかも??
  • やっぱりなんで死んだんだAKIRA…。

公開ダメ出し

  • 公演中、演出助手がずっとメモを取っていて、それを元にダメ出し。
  • 本当に細かいところまでダメ出しをする。小さなことの積み重ね。
  • 公開ダメ出しに参加してどのレベルまで演出しているかを知ることで、次に観るときにさらに集中して観れるようになった。この点は本当によかった。
  • 絶対演出家は酷い言葉を吐いて演者を泣かせるだろうと戦々恐々してたが、幸運にも自分が見た公開ダメ出しは演出家が褒めて泣かしてた。なんだこれ。
  • こういう舞台裏の努力は隠しておいてほしいというのが自分の希望だけど、今回の公開ダメ出しというイベントに参加してみて、もっと集中して観ないと演者の努力がもったいないなと思った。
  • 裏話的なのもいっぱい聞けた。鉄戸さんの大物っぷりに演出家もたじろいでたのが面白かった。
  • 食事の席で偶然演出家と鉄戸さんが隣同士になったとき(このとき、普段は演者と離れたテーブルで食べるんだけど偶然たまたま鉄戸さんが隣に、とかちょっとくどいぐらい演出家が言い訳してたのが面白かった)、演出家が「タバコ吸っていい?」と一応儀礼的に聞いたら「ダメです」と答えた鉄戸さん最高。
  • 何か演出家に言っておきたいことあるかと指名され、オーディションのとき嫌いだったと素直に白状する鉄戸さん最高。
  • ぐでたまを胸に抱える鉄戸さんが可愛すぎた。

公開打ち上げ

  • こういう意味不明なイベント最高。
  • プレミアム席購入者は公開打ち上げ参加のチケットが特典であるのだけど、普通に物販でも3,000円で買える。
  • 千秋楽終了後に場所を渋谷に移動して公開打ち上げ。会場はVISION。
  • 渋谷に移動しながら、暴利貪るアイドル甲子園がチケ代だけで打ち上げるわけがないから、公開打ち上げでも物販あるのではと怖くなる我々(実際は物販は無かった)。
  • イベントスタート30分押しだった。つらい。
  • 最初に乾杯。鉄戸さんが飲んでいるのはウーロンハイではなくウーロン茶。
  • それぞれひとりずつ感想。皆さん私服とAKIRATシャツのミックス。
  • 両手でグラスを抱えるようにウーロン茶をちびちび飲む鉄戸さんがめちゃんこ可愛い。大人になったらお酒もちびちび飲みそう。
  • 演者の1人が所属しているPassCodeのライブ。棒立ちで後方待機のハコオタ多数。ですよねー。
  • 最後の挨拶で夢は女優と言い切る鉄戸さん最高にかっこいい。応援する。
  • 最後に演出家が演者一同に土下座して終了。なんだか感動的な終わり方で騙されてないのに騙されたような気分に。あれれ??
  • イベント約1時間。終わってもやっぱり意味がわからないイベントだった。こういうやらなくても特に客が不満に思わないイベントをわざわざ会場を用意してまで開いてくれるのだからアイドル甲子園太っ腹。さすがsupported by 生メール。

全体的な感想

  • 全員台詞が長い。とにかくひとりがずっと話し続ける。長台詞のための舞台のような印象。
  • 緊迫感ある時間をずっと持続させているのには感嘆した。何はともあれ眠くならなかったからね。
  • 君島光輝さん圧倒的。さすが女優を志してpaletを辞めたまでの覚悟ある存在感。プライドが高く嫌味な女性を堂々と演じてた。3日(土)の回では感情過多でキムタクっぽいと公開ダメ出しで言われてたけど、4日(日)千秋楽ではそれをしっかり修正してきたのはさすが。
  • 席としては前方で2回、後方で2回観た。前のほうに座ると喋る人をどうしても目で追いかけてしまうのは仕方ないが、喋ってない人の表情の機微も素晴らしく、そういう全体で場を作っていくのが後ろの席からはよく見えた。
  • 千秋楽前日、土曜日の公演の陶酔具合が皆やばかったので、これは千秋楽は芝居どころではないのではと予想してたけど、千秋楽は湧き上がる自分の感情をひたと抑えて演技に徹してたのは本当に素晴らしいなと思った。特に感情を持っていかれそうになるところを必死に耐えてた君島さんや小俣さんの女優魂よ。
  • 君島さんの役は基本的に性格悪い女なのだけど、それが最後感情的に昂ることで和解となって、客側にも歩み寄れる余地を残してくれるというか、そういう気持ちの変化を自然に起こさせてくれる君島さんの演技は素晴らしい。
  • 自分含めて、複数回通う舞台は前に観た公演とどう変わってるかが楽しむポイントのひとつでもあるのだけど、この作品はアドリブがほとんど無かった。最初の鉄戸さんの推しは誰かという客への質問と最後の服を片付ける部屋でのおしゃべりぐらい? 公開ダメ出しを見た人はわかると思うけど、次の日観て変わってるなという部分も、実は前日の公開ダメ出しで演出の手が入って変わった部分なので、驚くほどアドリブが無い。まあ、そういう演出の方針なのでしょう。
  • 好きな演者目当てで舞台を観に行くと、ストーリー的にそれほどの役でもなく、出番が少なくてがっかりすることがありがち。でもこの作品に関してはそういうことはなく、6人のキャストすべてに主役級の見せ場があった。アイドルオタク向け。ちゃんと推しを褒められるの大事。


ここまではだいたい褒めてる点。以下、どうしても受け入れられなかった点をいくつか。



つらかった……

  • プレミアム座布団席は本当に疲れる。
  • 脚本演出と自分では絶望的にセンスが異なるのか、笑えない。笑わそうとして投げられるボールをほとんどバットを動かさずに見送ってしまうのが、演者達が真面目に演じていればいるほど心苦しくなって申し訳なかった。
  • 演者が演技している、観客がいることを認識している、つまりメタな視点を導入していて、好きな人は好きかもしれないけれど、自分はそういう作品が大の苦手なのでつらかった。作品に入り込ませてくれ。
  • 昨今の一般的な、演者と客の相乗効果による一体感で場を盛り上げるアイドルに背を向けて、ステージだけで完結した世界観を築き上げているハコムスを追いかけているにもかかわらず、そのハコムスのメンバーが出演している舞台で何故に劇中で演者に促されて拍手しなければいけないのさ。拍手は終演後カーテンコールでいいでしょ。
  • 演出家はスパルタ指導で有名らしく、だから厳しくしごかれてるのかなと思いつつも、稽古期間中の演者のツイートを見た友人が自己啓発セミナーブラック企業のようだと例えたように、彼女達の負の心情吐露に触れるとなんというかげっそりする。
  • 本当につらい。
  • 演劇は体育会系だし、どんな芝居の稽古でも厳しいのはわかってるが、それを公な場でネガティヴな感情を発露しなければいけないほどにまで追い詰めるのはどうなのかなと。
  • そういう本当なら陰の苦労であるべき努力を可視化して励ましたり褒めさせる、よく頑張ったで賞みたいなのは正直同意できない。
  • 苦しめて成長させようというのをひとつのエンターテイメントとしている節があってそれには嫌悪感を抱きますね。


 好きだという部分と嫌いな部分が混ざり合っていて、片方だけの感想だと嘘をついてる罪悪感があるので、正直、感想を書きづらかった。Twitterで感想を調べてもだいたい絶賛で、disってるのはほとんど見当たらないのだけど、みんな不満はこっそり書くか心の中にでも秘めておいてるのだろうか。オタク優しい。ともあれ、演出方針とか作品自体に好感を抱けない部分はあるけれど、6人の演技は素晴らしかった。これは本当。すごい言い訳じみててごめんなさいな感じだけど。千秋楽が終わった後に演者が口々に明日モリエールに行かないのが寂しいと言っていたけど、自分も月曜日にAKIRAが無い喪失感に襲われた。AKIRAがこんなにも心の中で大きな位置を占めてたなんて、自分でもびっくりだよ。


 稽古から数えて1ヶ月半、いろいろあったと思う。大変だったんだろうなということはこちらは想像するしかないが、その努力の結晶である公演で素晴らしい演技を披露してくれて、観に行って本当によかった。ともかく、お疲れ様でした!!!!!!