ハコイリ♡ムスメ『@JAM NEXT Vol.15 ~ドキドキ!? 恋のバレンタインパーティー~』@AKIBAカルチャーズ劇場(20150208)

 一週間前に大阪で夏冬堪能したというのに、また夏冬堪能してしまいました。ハコムスに季節感はないのでしょうか、と思いたくなるのは僕が毎回行っていろいろなバリエーションを見ているからで、今でも定期公演のハコムスなどは季節に敏感で、街の空気と少女の心情を美しく掬い上げています。


 今回の@JAM NEXT、1部は夏、2部は冬のセットリストとのことで、両方見た結果、やっぱり僕は冬が好きだなと再確認しました。初めて秋冬衣装で公演したときに感じた、このハコムスは素敵だなという思いを今再び感じて、ハコムスの冬に浸りきった次第であります。夏も好きですよ。でもハコムスらしさが十二分に出ているのは冬だと思うのです。優しく包み込む空気、重ねられる歌声、ハコムスだからこそ表現できる冬という季節がステージで繰り広げられます。


 冬のハコムスは表情やちょっとした仕草、特に視線の向け方がとても丁寧で、その眼差しだけで語れる表現力が素晴らしいなと思います。そんな皆さんの表現力が如何なく発揮されているのが『なぜ?』です。門前亜里さんばかり見ていると思われてる僕ですが、他の人もちゃんと見ていますし、この曲での小松もかさんの瞳の動きがとても良いのです。何度見ても皆さんの表情に引き込まれます。



劇団ハコイリムスメ『なぜ?』 - YouTube


 また、『スノーブーツのWish』は久しぶりに聴けて、これが本当の最後かもしれないので、とてもうれしかったです。ハコムスと雪合戦したいですね。『スノーブーツのWish』は最後、全員で輪になって回り、その後一人ずつくるりと回転するのですが、その大小に舞い重ねられた輪が美しいことこの上ない…。


 『ホワイトラビットからのメッセージ』は、門前亜里さんの歌声がくすぐったくて自然と笑みが浮かびます。門前さんの少し現実から浮いた佇まいが、重力に逆らって冬の空気にふわりと舞う粉雪のようで、その掴もうとしても囚われない奔放さがあの時期特有の少女らしく素敵です。少女らしく、といっても、大人による型にはまったイメージを軽やかに飛び越える不安定な揺れ幅が、とても門前さんだと思います。当たり前だけど、僕の見ている門前さんはほんの氷山の一角で、その背後にはもっと複雑で整理しきれない気持ちが蠢いているのだろうな、そう思わされます。想像の真偽はともかく、伝わってくる優しさは本物で、それに救われている僕としては受け取れるだけで幸いです。


 『Be My Diamond』では、一列に並んで踊るシーンが何回かあって、そのどれもが大好きです。一直線になった皆さんが一糸乱れぬタイミングで舞うのを見ていると、渡り鳥の一群が上昇気流を捉えて天高く舞い上がる様を想起します。過去から今へ、歌い継がれる名曲が、ここで再び羽ばたきます。この曲のとき、ステージを見上げる視線とアイドルを尊ぶ視線が最も自然に一致して、その場が神聖になるような気がします。『Be My Diamond』はもちろん、どの曲でも内山珠希さんの歌は力強く、ハコムスの背骨のようにしっかりと届いてきます。その周りを、小鳥といっては失礼かもしれないけれど、それぞれの個性ある歌声が輪になって歌っている、そんな印象を受けます。


 季節を感じさせるハコムスのライブは本当に素晴らしいです。太陽が眩しそうな笑顔や、切なそうに俯く瞳を見ていると、現実から遠く離れて忘れさせてくれます。素敵な物語を見せてくれるハコムスに何度でもありがとう。