生の強さきらめく『瞬間少女』

 余命僅かな少女二人が病院を抜け出して死ぬまでにやりたいことを駆け足でやり遂げていく話、一文で簡単にまとまりました。少女期というただでさえかけがえのない瞬間に、余命が少ないというさらなる条件が加わり、刹那を超えたきらめきに少女達が纏われます。その設定に負けないぐらい、映画も死を意識した少女のなんとか生きる実感を映像化していました。本当に綺麗な映像の連続で、いちいち可愛いんですよ、主演の小室ゆらさんが。洋服を着替えまくる小室さんも髪をばっさり切る小室さんもあっさり失恋する小室さんも、全部めちゃくちゃ可愛い。小室さんを可愛く撮るための映画じゃないかってぐらい可愛い。その中でもラーメン食べる小室さんがとても可愛いのだけれど、『ストロベリーショートケイクス』の池脇千鶴さんを思い出してしまいました。表情から佇まいから、健気というか、生に強かだなと、同じものを両者に感じたんです。そんな、表面上は明るく自分の死を受け入れている彼女の積極的な態度に、最初はつっけんどんだった同じく主演の片岡華奈子さんも、いろんな思いが胸に渦巻く役をやりきっていてよかったです。映画の背骨は片岡さんの話で、それを小室さんのサイドストーリーがコミカルに取り巻く感じで、いちいち拗ねる小室さんが可愛いのなんの。話の筋はハチャメチャで、どうしてこれがそうなるのか驚愕のドミノ倒しなんですが、そこはまあ少女の最後の輝きだけを紡ぎ出してパッチワークしたと思えば、少しぐらいの都合のよさは大目に見れるってものです。片岡さんの涙、綺麗でしたね。
 死を受け入れて強くなった少女達ほど僕が強くなれないのは、やはり漫然と生きているからでしょうか。歳を取っていくことに恐怖はありますが、そこにはそれほど切迫感はなく、日々はなんとなく過ぎていきます。なんとかしなくてはと思いつつもなんもしない毎日。歳を取るほどに感覚がなまくらになっていく。そんな自分を居合いで斬るように映画は一筋の痕跡を残していきました。可愛いけど、可愛いだけじゃないんだ。
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