南波志帆誕生日記念イベント“こどなの主張〜18歳の誓い〜”@ポニーキャニオン(20110614)

 南波志帆さんの18歳の誕生日であり、翌日6月15日にはシングル「こどなの階段」の発売日でもある6月14日に、南波志帆さんの誕生日記念イベントが開催されたので参加してきました。
 18歳というのは、残り少ない十代を精一杯生きようと心に決める傍ら、まだまだ大人には程遠い焦り、漠然とした将来に否応なく足を踏み出していかなければいけない心細さなど、決意と焦燥と不安といろいろな感情が混ざり合って奇跡的な色を生み出す、そんな年齢だと思います。あいにく僕には奇跡など起こらず、自分の周囲をより際立たせて羨望の気持ちしか抱かせてくれない陰のような色に沈んでいました。ですが6月14日に18歳の誕生日を迎えた南波志帆さんは、その日、瑞々しいとても素敵な色合いを放っていました。「こどなの階段」の衣装である真っ赤なワンピースに身を包んだ南波さんは、その赤を飛び越えるように、様々な色が内からきらめいていました。南波さんの多彩な輝きは、本人登場前に行われたアルバム試聴で既にその一端が感じ取れました。ニューアルバム「水色ジェネレーション」から未発表の5曲をワンコーラスだけ披露ということで、試聴前にそれぞれの曲に対する南波さんの解説が記された紙が配られてから試聴スタート。

  • 水色ジェネレーション
  • ミライクロニクル
  • たぶん、青春。
  • あいのことかも
  • 2センチのテレビ塔

聴いた瞬間好きになりました。特に「たぶん、青春。」が素晴らしかったです。イントロでゾクッと震えました。「たぶん、青春。」は解説に「プールの青は嘘の青」の2年後のイメージと書かれており、まさにあの続きといった感じです。静かに始まって、生きてきた時間をそのままメロディーに乗せたような連続感がありました。他の曲もどれも好きです。大袈裟な華やかさは抑えて、でも日々の生活を万華鏡から覗き込むようなきらめきがあって、それはたぶん南波さんが大人に近付いたからでしょう。
 試聴が終わった後にいよいよ南波さん登場。壇上には南波さんによる「南波志帆 こどなの主張」という題字が美しい字で掲げられていました。「こどなの階段」の赤い衣装で登場した南波さんは、マイクを前にして原稿を取り出し、いつもライブのMCで見せるようなくすぐったくもいたずらでちょっぴり毒のある感じとは真逆の真面目な口調で話し始めました。18歳になった南波さんの過去、現在、未来について話す言葉には真正面から向き合わなくてはいけません。突然の「硝子の少年」の熱唱に笑いつつ、自分の言葉に感極まって涙声になる南波さんにびっくりしましたが、最後、十代のうちに武道館で歌うことを決意する南波さんの眼差しはとても真摯でした。その目は限りなく透き通っていて、この道を走り続けようという覚悟が伝わってきました。無謀とも言える高すぎる目標に、生き急いで吹き飛ばされそうな心配もありますが、どうかその志を大きな帆として、暖かい風をめいっぱい受け取って力強く前に進んでほしいです。
 その後も新曲についてのトークなどがあり、さあ最後というところでサプライズ。プロデューサーの矢野博康さんが登場して花束を贈呈されました。矢野さんは南波さんが14歳の頃からの付き合い。長い。そして尊い時間です。出会った頃からの昔話に興じる2人のためにさらなるサプライズとして、南波さんデビュー前14歳の頃の映像と、そのとき歌われたMY LITTLE LOVERの「YES」が流れました。度重なるサプライズにびっくりしすぎて地元福岡の訛りが出る南波さんが可愛かったです。矢野さんも評していたように、14歳の南波さんはまだ子供のあどけなさと共に、これから足を踏み入れるであろう世界で負けまいという気負いが過剰に溢れ出ていて、その青さが眩しかったです。これこそが思春期の少女という、痛々しいほど青く鋭い烈しさがありました。その映像のインタビューで、南波さんは力んで歌い過ぎて声が枯れたと言い、その枯れた声と矢野さんのアドバイスによって生まれたのが「YES」でした。その「YES」で南波さん自身も周りのスタッフも、これが彼女の進む歌だと確信したそうです。東京という見知らぬ土地で大人に囲まれ、スタジオで2、30曲全力熱唱した末に生まれた歌は、気負いも刺々しさも抜けた、南波さんしか歌えない歌として見い出されました。本当によかったと思います。尖った青さがあったからこそあの歌が生まれ、今こうして歌い続けていることに、これこそが運命なのではないかと信じたくなります。
 誕生日という日に過去を振り返って、今を見つめ、そして未来に挑む、そんな貴重な時間を一緒に過ごせたことが幸せでした。僕は南波さんのライブが好きとずっと思ってましたが、歌がなくてもこんなに楽しいんだと自分でもびっくりしました。話しながら何度もマイクに歯をぶつけて、その度にみんなで笑って、ふとした瞬間に飛び出る博多弁に胸を締め付けられて、ミルクレープのように幾重にも重なる幸せに包み込まれました。暖かいとても楽しいイベントでした。
 改めて南波志帆さん、18歳の誕生日おめでとうございます。祝福の日に素晴らしい時間をありがとうございました。最後の一言「大好き…です」、心に刻まれました。

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水色ジェネレーション

水色ジェネレーション