仙台で乃木坂46を見て橋本奈々未さんに心を鷲掴みにされた話

 久しぶりにブログを書いてみようかなと思いました。あるときからライブとか舞台の感想を書くのが義務感っぽくなったなと感じ始めて、それはどうかなと思ったので少し書くのを休んでみたら思いのほか心が楽になったので、実際義務っぽくなっていたのだと思います。しかしまあブログを書くことは私にとって仕事ではないですしね。


 というわけでしばし休息からの久しぶりのブログ。最近いちばん熱を上げているのが乃木坂46でして、新し物好きが多い周りの人からは何を今更乃木坂なのかとよく言われますが、何かを好きになること、こればかりはタイミングでしかないと思っているので、どう言われようと今は乃木坂46が大好きです。


 周囲にも乃木坂好きな人は多く、それまでも乃木坂は好きでしたが遠くから眺めていた感じで、そこから好きがさらに加速したきっかけが46時間TVでした。何がどうとか上手く説明できないのですが、46時間いつでも乃木坂の皆さんが見える、生活の傍らに乃木坂がいる感じで急速に距離が近くなって惹かれていきました。その後は『ハルジオンが咲く頃』を買って、初めて全国握手会にも参加しました。そのままの勢いで福島まで行ってアンダーライブも見ました(しかし実は乃木坂ライブ2回目)。そのアンダーライブが素晴らしかったので帰りの新幹線で乃木坂モバイルに加入してモバメも登録しました。


 そして8月、乃木坂46の全員が参加する真夏の全国ツアーのチケットが幸運にも当たり、私は仙台公演に行ってきました。残念ながら桜井玲香さんは体調不良で欠席となってしまいましたが、それでもテレビや雑誌でしか見たことがないメンバーを、ずっと部屋で聴いていた曲を、生で体感できるとのことで大変楽しみにしていました。


 仙台公演の会場であるゼビオアリーナ仙台は今回のツアーの中でも規模の小さい会場とのことで(そう教えられたので申し込んだ)、間近で乃木坂の皆さんを見れるのではと期待していました。実際、想像を遥かに超える近さで乃木坂46のライブを見ることができました。すごかった。映像でしか体験したことのなかったことが生で目の前で繰り広げていることに純粋な感動がありました。


 仙台は3公演見ました。3公演とも楽しくて、仙台まで行ってよかったなと心から思いました。福島のアンダーライブで私を虜にして、仙台の全国ツアーでさらに幸せにしてくれて東北には感謝しかありません。東北最高。


 ライブで印象に残る出来事はたくさんありましたが、その中でいちばん感動したのは橋本奈々未さんでした。


 仙台最後の公演、その本編最後の曲である『ガールズルール』。白石麻衣さんが高らかに会場の全員をぶち上げたクライマックスのこの曲は、最後にメインステージで横1列になって踊るシーンがあります。2階スタンド席の、さらにメインステージからいちばん遠いブロックで見ていた私は、ただ全身で歌と踊りを受け止めるのみとなって、ぼーっと夢を見ているような感覚で爆音の『ガールズルール』と彼方の乃木坂を眺めていました。そのとき乃木坂の皆さんが一斉にくるりと回転したのですが、ひとりだけスカートがひらりと翻って鮮やかな裏地が見えたメンバーがいて私はハッとしました。誰だろうと目を凝らしてみたら(仙台はいちばん遠い席でも肉眼でメンバーが判別できるのです)、その人は橋本奈々未さんでした。橋本奈々未さんだと気付いた瞬間、隠された少女の美しさに触れたような気がして震えるような感動が訪れました。


 私はアイドルがワンピースやスカートの裾を翻す瞬間がいちばんアイドルらしく美しい瞬間だと思っています。あの瞬間の、アイドルとして振る舞っていることと、ひとりの人間として自由に振る舞っていることの調和が正しくとれているような美しさ、錯覚かもしれませんがアイドルとして生きていることの喜びを率直に表現しているようで、私はそうやって軽やかに回転する人が大好きです(そしてそういうことを強く思わせてくれたきっかけにアイドルネッサンス欅坂46がいます)。


 誰であれ美しく舞うアイドルは好きですが、あの『ガールズルール』で私の目に焼き付いたメンバーは橋本奈々未さんで、私はその人が橋本奈々未さんだということに感動してしまいました。


 正直仙台3公演を通じて、そこまで橋本奈々未さんを見ることは多くありませんでした。初めて参加した全国ツアーは、ステージ上のメンバーが多すぎてどこに目を向ければよいか困るときが多々あるぐらいだったので、注目できなかったメンバーもいました。


 常に落ち着いて見える橋本奈々未さんだからこそ、そういう弾けた仕草とのギャップに惹かれてしまったのかもしれません。橋本奈々未さんは乃木坂でも売れっ子のメンバーです。個人としての仕事もたくさんこなし、ファッション誌のモデルもやっていて、もうアイドルに固執する必要もないような、ぶっちゃけるといつ乃木坂を辞めてもおかしくない橋本奈々未さんが、あの瞬間いちばんアイドルとして輝いていたように私は見えました。そのことにとても感動しました。


 橋本奈々未さんというと去年公開されたドキュメンタリー映画『悲しみの忘れ方 Documentary of 乃木坂46』を思い出します。これはAKB系のドキュメンタリー映画で私が唯一映画館で見た映画です。その映画はメンバーの母の視点から娘が乃木坂46と関わってどう変わってきたのかを描いています。映画で取り上げられているのは選抜メンバーの中でも人気のある数人なのですが、映画を見た私は中でも橋本奈々未さんの不退転の決意に強く心を打たれました。北海道から東京に出てきて、なんとしてでも生き抜いていこうとして辿り着いた乃木坂46への気持ち。私は群馬生まれですが、地方で育ち、生まれた土地を飛び出した者にとって共鳴せざるを得ない橋本奈々未さんの決意。単純にかっこいいなと思いました。


 そのような事前の思い入れがあったからこそ、『ガールズルール』の橋本奈々未さんがとても美しく感じました。全力で走っている輝きがあった。それまで仙台2日間3公演、たくさんの楽しい出来事がありましたが、この橋本奈々未さんがすべてをかっさらっていきました。


 とても大切なものに出会えたような気がします。


 思い入れがないと感動できないのかと複雑な気持ちもあります。乃木坂46は人気のあるアイドルグループです。仙台公演MCで齋藤飛鳥さんは謙遜して日本で5本の指に入ると言っていましたが、実際客観的とかどうでもよくて、どんなアイドルであっても好きな人にとってはそのアイドルが1番のアイドルです。しかし人気のあることは事実であって、乃木坂46は様々な媒体でもっていろいろなことが語られています。そしてそれらを私達は取り込んで、自分と乃木坂の物語の一部とします。インタビューで語られる不遇なアンダー、選抜入りの厳しさ、メンバーブログでは時折どうやれば人気が出るのか答えのない悩みが綴られます。それらにいいように引き込まれているなという自覚はあります。踊らされているとわかって踊っている。それでも楽しい。操られているもどかしさはあるものの、もうそれでもいいのかなという諦念もあります。どうであっても、そういうストーリーを紡いだ先で私は橋本奈々未さんに感動しました。あの瞬間の橋本奈々未さんはとても美しかったです。


 遅いスタートだけど、乃木坂46を好きになってよかった、そう思わせてくれた仙台でした。ありがとう。




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